GM-CSF およびIL-17 の阻害は、関節炎マウスモデルにおいて有益な効果を示す
Nature Reviews Rheumatology
2008年9月1日
GM-CSF and IL-17 blockade shows beneficial effects in a mouse model of arthritis
サイトカインであるGM-CSF( 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)およびインターロイキン(IL)-17 には、関節リウマチ(RA)における重要な病理 学的意義があることが明らかになった。In vivo の実験でこれらのサイトカインを阻害したところ、疾患の重症度軽減に有益な効果が認められた。このためPlater-Zyberk らは、RA 様疾患のマウスモデルにおいて、GM-CSF およびIL-17 を同時に阻害し、その効果を検討した。
IL-17 受容体(IL-17R)ノックアウトC57Bl/6 マウスおよび野生型マウスの片方の膝関節に、連鎖球菌性細胞壁を用いて関節炎を誘発した。これらのマウスに、GM-CSF、IL-1β または腫瘍壊死因子(TNF) に対する抗体を腹腔内注射で投与した。
GM-CSF を阻害したマウスは、罹患した膝関節の関節腫脹が有意に減少した。この効果は最終投与後4 日目まで継続した。エタネルセプトでTNF を阻害しても、関節腫脹には効果が認められなかったが、 IL-1β 阻害では腫脹が中等度に減少した。GM-CSFまたはIL-1β を遮断したマウスでは、膝関節軟骨の損傷が有意に減少した。GM-CSF 阻害の関節腫脹および軟骨損傷に対する有益な効果は、IL-17R ノック アウトマウスの方が野生型マウスよりも大きかった。
これらの結果は、GM-CSF やIL-17 の阻害に、RA 様関節炎モデルに対する治療的効果があるという仮説を支持していると著者らは結論づけている。GM-CSF とIL-17 を同時に阻害することは、抗TNF 療法が奏効しないRA 患者に対して、特に有効性が高い可能性がある。
doi: 10.1038/ncprheum0868