PETを用いたマクロファージのイメージングによるRAの関節炎の検出
Nature Reviews Rheumatology
2009年2月1日
Use of PET with macrophage imaging to detect joint inflammation in RA
関節リウマチ(RA)の関節炎を検出するためのPETは、通常、グルコース代謝のトレーサーである18F-フルオロデオキシグルコースを用いて施行される。しかし、グルコース代謝の亢進は炎症の特異的な指標ではないため、van der Lakenらは、RA患者において、11C(- R)-PK11195を用いたPETの応用を検討した。11C(- R)-PK11195はマクロファージを標的とするトレーサーで、マクロファージの末梢型ベンゾジアゼピン受容体に結合する。
著者らは、トレーサーの集積と臨床的に確認された滑膜炎との間に高い相関性を見出した。高度の腫脹がみられる膝関節では、腫脹が軽度もしくはまったくみられない膝関節と比べて、トレーサーの集積が有意に高かった。患者6例から採取した、炎症を起こした滑膜組織標本11個の免疫組織化学染色により、集積はPK11195リガンドのマクロファージ受容体への結合に起因するものであることが確認された。さらに、RA患者の炎症を起こしていない反対側膝関節のスキャンでも、炎症性関節疾患をもたない患者の対照膝 関節と比べて、トレーサー集積の有意な亢進が認められた。マクロファージ浸潤はRAの早期指標であると考えられることから、11C(- R)-PK11195PETは症状を現わす前の関節炎の検出に有用となる可能性がある、と著者らは示唆している。この手法の利点としては、11Cの半減期が短く、検査時間を1時間から20分まで短縮できる可能性が挙げられる。
この研究は、小規模ながら、RA患者の関節炎の検出にマクロファージトレーサーによるPETを用いた、初めての研究である。この手法の可能性について、さらなる検討が求められる。
doi: 10.1038/ncprheum0966