Review Highlight
17型ヘルパーT細胞―起源、特徴とリウマチ性疾患への関与の可能性
Nature Reviews Rheumatology
2009年5月12日
Type 17 T helper cells—origins, features and possible roles in rheumatic disease
17型ヘルパーT(TH17)細胞は、インターロイキン(IL)-17産生能があるという点でTH1およびTH2細胞とは異なる、CD4HエフェクターT細胞の集団である。TH1およびTH2細胞は、マウスとヒトとで類似しているが、TH17細胞はいくつかの点で異なる。マウスTH17細胞の分化には、腫瘍増殖因子βとIL-6が必要であるのに対し、ヒトのナイーブT細胞は、IL-1βとIL-23のみの存在下でTH17細胞になることができ、腫瘍増殖因子βは、TH1細胞増殖の選択的抑制によってTH17細胞の発達に間接的に関与する。マウスでもヒトでも、発達後期には、TH17細胞のTH1系への可塑性が認められている。主としてマウスの遺伝子ノックアウト研究の結果に基づき、TH17リンパ球は、いくつかの自己免疫疾患に病因的役割を果たすことが明らかにされている。しかし、関節リウマチ(RA)や乾癬などのヒト自己免疫疾患が、主にTH1介在性であるのか、TH17介在性であるのかは、まだ分かっていない。TH1細胞とTH17細胞の両方がRAの発症機序に関与することが、研究によって示唆されており、IL-23‐IL-17(TH17)軸とIL-12‐インターフェロンγ(TH1)軸の両方を標的とする介入が、今後のRA治療法として有効となる可能性が浮き彫りになっている。
doi: 10.1038/nrrheum.2009.80