Research Highlights
RAに対するTNF阻害療法は樹状細胞の機能と生存を阻害する
Nature Reviews Rheumatology
2010年7月1日
Rheumatoid arthritis Anti-TNF therapy for RA hinders function and survival of dendritic cells
腫瘍壊死因子(TNF)の阻害は、樹状細胞の生存と機能に影響を与えることが最近の研究で明らかにされ、このことが、TNF 阻害薬が関節リウマチ(RA)になぜ有効であるか考える上での手がかりとなっている。
TNFは滑膜炎の調節因子として知られており、TNF阻害療法はRAの治療に用いられることが多い。「樹状細胞は関節リウマチの発症に関与しており、TNFはその樹状細胞の生物学において中心的役割を果たしている。このため、TNF阻害薬がどのように樹状細胞の機能を調節するのかを検討することにした」と責任著者であるニューカッスル大学(英国)のCatharien Hilkensは述べている。
Hilkensらはまず、TNFの阻害がリポ多糖類により活性化させた樹状細胞のアポトーシスを誘導することを、in vitroで示した。さらに、TNF阻害薬で処理したところ、活性化樹状細胞の完全な成熟が抑制されることも明らかにした(CD80、CD86、CD83発現が顕著に低下)。これらの「半成熟」樹状細胞は、大量のインターロイキン(IL)-10を分泌し、T細胞に対する免疫刺激作用を低下させる。実際、こうした樹状細胞により、T細胞の反応が影響されて、抗炎症性サイトカインの産生が亢進する状態となる。TNF阻害薬処理樹状細胞でプライミングされたT細胞が分泌するIL-10、IL-4、IL-17の量は、完全成熟樹状細胞でプライミングされたT細胞が分泌する量よりも 大幅に多くなり、逆に、インターフェロン-γの分泌量は少なくなることが認められた。
doi: 10.1038/nrrheum.2010.93