Review Highlight
SLEにおける治療標的としてのサイトカイン
Nature Reviews Rheumatology
2010年5月4日
Cytokines as therapeutic targets in SLE
全身性エリテマトーデス(SLE)は、不均一な自己免疫疾患であり、ほとんどの免疫細胞が関与している。ループスの実験動物モデルおよびSLE患者を対象とした研究で、疾患過程において重要ないくつかのサイトカイン経路が明らかになってきた。例えば、B細胞活性化因子(B細胞生存と自己抗体産生を促進)、インターフェロン-α(免疫のアジュバントとして機能)、および腫瘍壊死因子(TNF)(臓器の炎症に関与)などである。この知識と、関節リウマチに対するTNF阻害薬療法の成功があいまって、SLEの治療薬としてさまざまなサイトカインやその受容体を標的とした生物学的製剤の開発が進められ、SLEの抗サイトカイン療法に関する多数の試験が進行中である。これらの試験のほとんどは小規模あるいは初期段階であるが、大規模試験の結果もいくつか報告されている。本レビューでは、SLEに対する抗サイトカイン療法の理論的根拠について論じ、現在使用されている薬剤および開発中や実験的に試験されている薬剤についてレビューする。また、発表された試験の結果を示し、新しい薬剤の有効性に関して導き 出された暫定的な結論について考察する。最後に、新しい治療戦略を含めた将来のSLE治療に関して提案を行う。
doi: 10.1038/nrrheum.2010.64