Review Highlight
リウマチ疾患におけるバイオマーカーとしてのmicroRNA
Nature Reviews Rheumatology
2010年6月1日
MicroRNAs as biomarkers in rheumatic diseases
microRNA(miRNA)は細胞内に存在する19~25塩基長のノンコーディング1本鎖RNAである。遺伝子発現を調節し、さまざまな生理学的・病理学的過程に重要な役割を果たす。miRNAは、発現パターンが根底にある病態生理学的過程を反映し、種々の病態に特異的であることから、バイオマーカーとして魅力的である。また、miRNAは組織、血液、体液などから検出することができる。十分に安定しており、サンプルの取り扱いの違いに左右されないという点は、実用的なバイオマーカーとしての魅力を高め、診断または予後のバイオマーカーとしてのmiRNAの臨床的有用性がさまざまな悪性腫瘍や一部の非悪性疾患で実証されている。miRNAは全身性リウマチ疾患に大きく 関与しており、また異なる疾患間または同一疾患の異なるステージではmiRNA発現プロファイルが異なるという証拠が蓄積されている。予備的データからは、miRNAが自己免疫疾患の診断、予後、疾患活動性、重症度のバイオマーカー候補として有望であることが示唆されている。パイロット研究でバイオマーカー候補として特定されたmiRNAに ついては、特にバイオマーカーの検証を目的にデザインされた、より規模の大きい研究で検証する必要があろう。
doi: 10.1038/nrrheum.2010.81