Research Highlights

変形性関節症の発現におけるレプチンとBMI

Nature Reviews Rheumatology

2010年9月1日

Leptin and BMI in OA development

体重は肥満と変形性関節症(OA)の関連における唯一の因子であるとこれまで考えられていた。OAのプロセスに対する肥満症(adiposity)の寄与が明らかにされつつあることを受けて、OAの病理における体重の役割が再評価されている。Palluらによる新たな研究では、OA患者ではレプチンに対する軟骨細胞の反応性がBMIに左右されることが示されている。本研究の主要研究者であるNathalie Presleは、「肥満は、レプチンの中枢作用の不良に関連する。このことから、軟骨などの末梢組織もレプチンの作用に耐性を持つようになるのか否かという問題が浮上してくる」と説明している。

著者らは、肥満でない(BMI≦30 kg/m2)または肥満(BMI>30 kg/m2)のいずれかに分類されたOA患者25例の膝から得られた関節軟骨標本から軟骨細胞を分離した。肥満でない患者に由来する軟骨細胞では100 ng/mLのレプチンで2型コラーゲンおよびインスリン様成長因子1(IGF-1)mRNAの発現上昇が誘導された。しかし、肥満患者に由来する軟骨細胞では、2型コラーゲンおよびIGF-1 mRNAを同様に誘導するには500 ng/mLのレプチンを要した。また、肥満でない患者の軟骨細胞におけるレプチンの標的として、メタロプロテアーゼ阻害因子2(TIMP-2)をコードする遺伝子が特定された。これに対して、肥満患者の細胞では、レプチン刺激によりマトリックスメタロプロテアーゼ13(MMP-13)mRNA は産生されたが、TIMP-2 mRNAは産生されなかった。

これらの結果を合わせると、肥満患者では、軟骨細胞におけるTIMP-2およびMMP-13発現に対してレプチンがBMI依存的にその作用を及ぼすため、OAにおける変性過程が 変化し、軟骨破壊が亢進する可能性が示唆される。「高脂肪食を摂取している動物にレプチンを関節内投与する今後の研究が、肥満の発症時にレプチンに対する軟骨細胞の反 応性が変化しているのかどうかを明らかにするうえで役立つであろう」と、Presleは述べている。

doi: 10.1038/nrrheum.2010.128

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