ANCA関連血管炎においてリツキシマブはシクロホスファミドと同等の短期安全性および有効性を有する
Nature Reviews Rheumatology
2010年9月30日
Therapy Rituximab has similar short-term safety and efficacy to cyclophosphamide in ANCA-associated vasculitis
シクロホスファミドとグルココルチコイドは、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎における導入療法に重要な役割を果たしているが、高死亡率と重篤な有害事象を伴う。新たな研究結果により、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブは、ANCA関連血管炎の治療に用いる場合、少なくとも短期的にはシクロホスファミドと同等の安全性および有効性を有することが示された。
Stoneらは、新規または再発した重度ANCA関連血管炎患者を、標準的グルココルチコイド療法に加えてリツキシマブ(99例)またはシクロホスファミド(98例) のいずれかを投与する群に無作為に割り付ける多施設共同二重盲検ダブルダミー非劣性試験を行った。両群間で有害事象発生率に差は認められず、6ヵ月時点で のステロイド不要寛解達成率にも差がなかった。しかし、再発患者においては、リツキシマブ群51例中34例がステロイド無しの寛解に達したのに対して、シクロ ホスファミド群では50例中21例で、リツキシマブベースのレジメンのほうが、寛解導入がより効率的であった。
Jonesらは、非盲検並行デザイン無作為化試験において、同様な結果を報告し、上述の報告を裏づけている。新規の重度ANCA関連血管炎患者に、リツキシマブ +シクロホスファミド(パルス2回)+グルココルチコイド(33例)またはシクロホスファミド+グルココルチコイド(11例)のいずれかを投与した。12ヵ月の時点での有 害事象発生率および持続的寛解到達率は両群で同等であった。
これら2件の研究では、ANCA関連血管炎に対するリツキシマブベースの導入療法には、安全性、有効性のいずれの優位性も認められなかった。しかし、免疫抑 制薬による維持療法の必要性が低下し、シクロホスファミドの累積曝露量が低下するため、著者らは、長期的には有用性はあると考えている。このため、Stoneらお よびJonesらは、患者をそれぞれ18ヵ月、24ヵ月以上経過観察するつもりでいる。リツキシマブは、シクロホスファミド関連有害事象のリスクが極めて高い患者に対 する有用な治療選択肢となると考えられ、さらに再発ANCA関連血管炎の治療に対する第一選択薬となる可能性もある。
doi: 10.1038/nrrheum.2010.150