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関節リウマチに対する生物学的製剤治療の日本における経験

Nature Reviews Rheumatology

2010年9月28日

The Japanese experience with biologic therapies for rheumatoid arthritis

日本人特有の遺伝的、環境的、医学的背景は、関節リウマチ(RA)患者における生物学的製剤の有効性と安全性に影響を及ぼす可能性がある。実際に、一部の生物学的製剤(インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブなど)は臨床試験によって、西洋諸国で同じ薬剤を投与されているRA患者に比べ、日本のRA患者では奏効率が高いが、アダリムマブの奏効率は両集団で同等であることが明らかにされた。一部の生物学的製剤の奏効率が日本人において異なる理由については、現在研究が進められている。薬剤安全性を監視するために、日本で生物学的製剤を投与された全てのRA患者について、市販後調査データが収集された。これらのデータにより、生物学的製 剤によって薬物有害反応が発現した患者は約5%のみであり、生物学的製剤は忍容性が高いことが明確に示された。肺炎、結核、Pneumocystis jirovecii 肺炎、間質性肺炎が、重要な重症副作用と考えられ、これらの有害作用の危険因子が同定されている。薬物有害反応によって、日本人RA患者における生物学的製剤治療に関連するリスクが、 増幅される可能性がある。したがって、生物学的製剤を用いた個別化治療を可能にするために、またこれらの患者のアウトカムを最適化するために、臨床効果と有害作用を予測する試みが行われている。

doi: 10.1038/nrrheum.2010.154

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