Research Highlights

シェーグレン症候群における長寿命形質細胞―唾液腺の生存ニッチか

Nature Reviews Rheumatology

2011年3月1日

Connective tissue diseases Long-lived plasma cells in Sjögren's syndrome—a salivary survival niche?

原発性シェーグレン症候群(primary Sjögren’s syndrome:pSS)患者の唾液腺には、長寿命細胞の特徴をもつ形質細胞 と、長期生存に必要な因子が存在することがEwa Szyszkoらによって報告されている。「pSS においては、標的器官での形質細胞の生存が、自己抗体の産生と存在に影響を及ぼす可能性がある」とSzyszkoは述べており、免疫抑制療法に抵抗性を示すことが知られる長寿命形質細胞サブセットをさらに理解することで、この疾患の治療が改善されるのではないかと付け加えている。

pSSの病態は主に唾液腺に現れ、同部位では浸潤単核球が徐々に分泌機構に取って代わる。軽度病変においては活性化された自己反応性T細胞が優勢であるが、重度病変で は自己反応性B細胞と形質細胞がそれを上回る。pSS患者の多くは、腺機能の喪失に起因する不快感を軽減するためだけの治療を受けるが、重篤な腺外症状を停止させようと 免疫抑制療法を受ける患者もいる。しかしこの取り組みは、B細胞除去療法に抵抗性を示す長寿命形質細胞によって台無しになる可能性がある。

Szyszkoらは、pSS患者から採取した小唾液腺組織の切片において、長寿命形質細胞の存続に必要な分子の発現を検討した。分泌上皮が、インターロイキン6やCXCケモカ インリガンド12(CXCL12)などの因子を発現し、生存のマーカーを発現している形質細胞がその周囲に集合していた。予想外に、肥大を伴う浸潤脂肪細胞が存在する場合、この細胞もCXCL12を発現し、形質細胞によって同様に取り囲まれた。最も症状の重い患者の検体に、表現型的に最も寿命の長い形質細胞が存在したことから、この生存ニッチを標 的とすることが治療上有益である可能性が示唆された。

doi: 10.1038/nrrheum.2011.6

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