Review Highlight
抗リウマチ薬に関連した肝毒性
Nature Reviews Rheumatology
2011年1月25日
Hepatotoxicity related to antirheumatic drugs
抗リウマチ薬は、頻用される薬剤の中で肝毒性と関連のあるものの一つである。スルファサラジンとアザチオプリンは急性の肝毒性の重要な原因である。NSAIDは非常に多くの人に使用されているため、これらに起因する肝毒性の発生はまれであるものの、薬剤誘発性肝疾患の全体数に対する寄与は大きい可能性がある。抗リウマチ薬の肝毒性は広いスペクトルにわたって報告されている。ジクロフェナクの肝毒性に対する遺伝的感受性を検討する研究により、その発症に関連している可能性のある、薬剤特異的、クラス特異的、一般的な因子に対する理解が進み、メトトレキサート関連肝障害の研究により、肝障害の尤度と重症度を決定する薬剤間の相互作用、宿主、環境因子 が示された。インフリキシマブによる治療は典型的な薬剤誘発性自己免疫性肝炎と関連している。薬剤と臨床的イベントの関連の強さを客観的に評価するために検証された因果関係評価法が用いられてきたものの、薬物性肝障害(DILI)の診断は実際のところ、疑わしい臨床的指標、パターン認識、薬剤曝露と有害事象の時間的関係の確立、臨床症状を説明するその他の疾患の除外による。個人の感受性を規定する遺伝および環境因子を詳細に理解することにより、肝毒性のリスク低減と一次予防が可能となるだろう。
doi: 10.1038/nrrheum.2010.214