Primer
全身性強皮症
Nature Reviews Disease Primers
2015年4月23日
Systemic sclerosis
全身性強皮症は複雑な自己免疫疾患であり、経過は慢性的かつ頻繁に進行し、患者間でのばらつきが大きいという特徴がある。他の自己免疫疾患と同様に、全身性強皮症は女性に多発し、発症のピークは50歳代である。全身性強皮症の正確な原因はよく分かっていないが、遺伝的な変化のあった患者に環境因子が影響して発症する可能性が高いと考えられている。主な病因は、血管病変(異なる複数の自己抗体による自己免疫、および自然免疫と適応免疫の両方が活性化していることが示されている)ならびに不可逆的瘢痕化と臓器不全をきたす皮膚と内臓の線維化と考えられている。血管障害および線維化した臓器の障害が難治性に進行することが、全身性強皮症の慢性的罹患と高い死亡率の原因となっている。患者の転帰は、早期の正確な診断と分類によって改善する可能性がある。致死的な合併症を適時に発見し、本疾患の進行を抑える標的治療を早期に開始するためのスクリーニング戦略が実施されている。臓器型合併症の効果的な治療が間もなく利用できるところまできている。特定の疾患合併症または急激な進行のリスクの高い患者サブセットを同定するバイオマーカーの発見は、優先順位の高い研究テーマである。主要な発症機序や疾患の所見に関連する細胞型とメディエーターを理解することで、真の疾患修飾を可能にする標的治療の開発の扉が開かれる。
doi: 10.1038/nrdp.2015.2