Primer
非小細胞肺がん
Nature Reviews Disease Primers
2015年5月21日
Non-small-cell lung cancer
肺がんは最も高頻度に診断されるがんの1つで、世界の癌関連死の原因の第一位である。非小細胞肺がん(NSCLC)には多様性があり、新たに診断された肺がん全体の約85%に相当する。喫煙は現在でもこのがんの主要な発症リスク因子であるが、ラドン曝露と大気汚染もまたリスクとなる。スクリーニングプログラムが十分ではなく、臨床症状の発現が遅いため、大多数の患者が進行期がんとして診断される。そのため、患者の予後は極めて不良になる。NSCLCの診断法には、X線、CTおよびPET画像法をはじめ、腫瘍生検の組織学的検査などがある。外科手術、放射線化学療法、免疫療法、およびがん遺伝子変異がある場合には抗血管新生モノクローナル抗体またはチロシンキナーゼ阻害薬を用いた標的治療など、NSCLCの最適な管理戦略を決定するためには正確な病期分類が必要である。上皮増殖因子受容体遺伝子(EGFR)や未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)のようなドライバー遺伝子の変異がいくつか同定されており、これら遺伝子の獲得耐性の問題に対処するために、治療法は進歩し続けている。また、緩和ケアは患者管理の中心であり、QOLを劇的に改善する。
doi: 10.1038/nrdp.2015.9