Primer
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
Nature Reviews Disease Primers
2015年6月25日
Obstructive sleep apnoea syndrome
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、よく見られる臨床症状であり、睡眠中に咽喉の狭小化または虚脱が繰り返されるため、閉塞性睡眠時無呼吸イベントの原因になる。この症候群は特に中年期以降によくみられる。上気道の虚脱が起こる機序について、完全には明らかにされていないが、肥満、頭蓋顔面の異常、上気道筋の機能的異常、咽頭の神経障害、および頸部への体液移動などの多くの原因が考えられている。虚脱によって直接的に、間欠的低酸素状態・高二酸化炭素状態、周期性覚醒および呼吸努力の増加が起こり、二次的な交感神経活性の亢進、酸化ストレスおよび全身性炎症が誘発される。日中の過剰な眠気は大多数の患者の負担となっている。OSASは、代謝機能不全をはじめ、高血圧、不整脈、脳卒中、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化などの心血管系共存症、および心血管疾患死亡率の全般的な上昇とも関連している。睡眠時無呼吸による慢性的影響が、睡眠時無呼吸を治療することで改善し得るかについては、適正によくデザインされた試験によって明らかにする必要がある。持続陽圧呼吸(CPAP)療法は、重症OSAS患者の治療の第一選択であるが、軽症から中等症の治療としては口腔内装置も広く普及している。最後に、CPAPのような種々の治療法と体重管理の併用には効果があるが、今後、無作為対照試験において評価する必要がある。
doi: 10.1038/nrdp.2015.15