Primer
体軸性脊椎関節炎
Nature Reviews Disease Primers
2015年7月9日
Axial spondyloarthritis
体軸性脊椎関節炎には、非X線疾患とX線疾患(強直性脊椎炎としても知られる)が含まれる。体軸性脊椎関節炎の有病率を調査するためにいくつかの試験が実施されたが、大部分はX線疾患の患者に限定されていた。体軸性脊椎関節炎とヒト白血球抗原B27(HLA-B27)との間に強力な遺伝的関連があることが示されたが、HLA-B27の病因的役割については明らかにされていない。腫瘍壊死因子(TNF)、IL-17、IL-23および下流経路に対する治療の成績が良好であることから、これらの分子は重要であると思われるが、炎症過程におけるこれらの正確な役割もまだ明らかにされていない。骨増殖と炎症との相互作用を解明することは、長期の骨の構造的損傷を予防する上で重要である。体軸性脊椎関節炎患者の分類、診断およびスクリーニングの新しい基準の開発によって、この慢性的炎症性疾患の早期介入が可能となる。MRIは体軸性脊椎関節炎の早期発見に重要な方法になっている。NSAIDとTNF阻害薬は、X線変化のない早期例も含めて、有効な治療方法である。IL-17またはIL-23の阻害療法は有望な新しい治療選択肢と思われる。体軸性脊椎関節炎におけるQOLの測定方法は、本疾患によって患者が受ける影響を評価する方法に変わってきた。診断と治療におけるこれらの進歩によって、体軸性脊椎関節炎の管理は変化し続けることができ、また、本疾患の病因に関する新しい知見がこの過程を推進することが期待される。
doi: 10.1038/nrdp.2015.13