Primer
大腸がん
Nature Reviews Disease Primers
2015年11月5日
Colorectal cancer
数十年前まで、大腸がんは発症率の低いがんであった。しかし、現在では主要ながんになり、西洋諸国におけるがん関連死の約10%を占める。先進国における大腸がんの“増加”には、高齢者の増加、現代の好ましくない食習慣、およびリスク因子(喫煙、運動不足、肥満など)の増加が影響していることが考えられる。原発性大腸がんおよび遠隔転移を有する大腸がんの新規治療法が開発され、患者に新しい選択肢が提供された。これらの治療法には、原発巣の腹腔鏡手術、転移巣(肝転移や肺転移など)の積極的切除、直腸がんの放射線治療、術前化学療法および緩和期化学療法などが挙げられる。しかし、これらの新しい治療選択肢による、治癒率と長期生存に及ぼす影響には限りがある。このような理由に加えて、大腸がんでは、ポリープ状前がん病変が長期に先行することが確認されていることから、スクリーニングプログラムが活発に行われている。このPrimerでは、大腸がんの診断と治療をはじめ、疫学と発症機序に関する現在の知見の概要を説明する。
PrimeView
大腸がんは先進国で最もよく見られるがんの1つである。このPrimeViewでは、過去60年間に、赤肉の消費、喫煙、飲酒および高齢者とともに大腸がんの発症率が増加した経緯について解説する。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2015.65