神経性無食欲症
Nature Reviews Disease Primers
2015年11月26日
Anorexia nervosa
神経性無食欲症(AN)は、著しい体重減少と低栄養に関連する二次的障害を特徴とする精神疾患の1つである。ANは、ほとんどの場合、思春期前後の青年期に発症する。有効な治療を早期に行わなければ、肉体的、精神的および社会的な病状の経過が長引くうえに、死亡率も高くなる。このような影響があるにも関わらず、患者は自身の問題と捉えず、この疾患の原因になっている信念と行動に価値を見出すため、スクリーニング、予防および早期介入が妨げられている。疾患経過の早期から家族が支援介入に関与することで、持続的な変化が表れる場合がある;しかし、重症化および/または長期化した症例では、入院看護によるサポートおよび/または外来心理療法が必要になる。予防プログラムの目的は、“やせ”への過大評価および直近のリスク因子(proximal risk factors)である身体的不満を抑えることである。ANの有病率が低いため、リスク因子の同定をはじめ、発症時期や性比率に関する研究は限定的である。しかし、AN患者の遺伝子プロファイル、発症前の特徴、および脳の構造と機能は、他の精神疾患と同様であるが、肥満や代謝性疾患とは明らかに異なることが示されている。このような研究は、ANに関連する飢餓や他のさまざまな身体的および心理社会的欠損への神経適応に対処する上で、有用な情報をもたらしている。このPrimerでは、ANの疫学、診断、スクリーニングと予防、病因、治療および患者の生活の質について解説する。
PrimeView
神経性無食欲症(AN)は精神疾患の1つで、著しい体重減少と低栄養の関連障害を特徴とする。このPrimeViewでは、ANの診断と治療を明示する。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2015.74