Primer

膵がん

Nature Reviews Disease Primers

2016年4月21日

Pancreatic cancer

膵がん
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膵がんはがん関連死の主な原因であり、予後が極めて不良な状況が数十年間続いている。今のところ、予防と治癒可能な病期での早期診断は極めて困難である。症状が現れる患者はまれで、腫瘍の検出に有用な感度と特異度を備えるマーカーが存在しない。膵がんによく見られる遺伝子変異もわずかしかない。最もよく見られる変異遺伝子は、KRASCDKN2A(p16をコードする遺伝子)、TP53およびSMAD4であるが、現状ではいずれの遺伝子についても創薬に至っていない。実際、ほとんどの膵がんは、ゲノム、エピゲノム、代謝物レベルで複雑であり、多様な活性化経路とクロストークが関与しているため、治療オプションが限られており、治療薬開発の歩みも立ち遅れている。さらに、腫瘍内微小環境の腫瘍細胞と間質細胞との重層的な相互作用が薬物治療を困難にしている。外科切除可能な患者は全体の20%に届かない。しかし術前療法によって腫瘍の切除可能性は高まると考えられている。術後療法だけでなく、新しい薬剤併用療法や多様なレジメンを使用した術前療法によって、生存期間が目に見えて延長したが、患者の約80%は術後に再発し、最終的にこの疾患で死に至る。したがって、QOLと全生存期間を考慮することが大切である。このPrimerでは、病態生理学、分子生物学、トランスレーショナル研究および臨床の視点から膵がんに関する最新の知見を取りまとめる。さらに、膵がんの研究と患者管理に関して今後考えられる方向性についても概説する。

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このPrimerでは、膵がん発症の基礎にある、遺伝子変異、シグナル伝達経路異常、微小環境の変化および代謝の再プログラミング間の相互作用について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2016.22

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