Primer
感染性心内膜炎
Nature Reviews Disease Primers
2016年9月1日
Infective endocarditis
感染性心内膜炎(IE)は希少であるが、生命を脅かす疾患であり、生存例や治癒例でも長期に影響が及ぶ。IEは構造的心疾患を有する患者、特に血管内人工血管留置患者によく起こり、医療機関利用との関連が増加している。病原体により菌血症が発症した場合、侵入した微生物と宿主の免疫システムとの間に複雑な相互作用が起きるため、最終的に感染性疣腫が形成される。IEが確立すると、全身のほとんどの臓器システムに影響が及ぶようになる。IEの確定診断は難しいことから、臨床検査、微生物検査および心エコー検査の結果を統合した修正デューク診断基準がよく利用されている。血液培養陰性のIE患者では、特に診断が難しくなることがあるため、診断を確定するために微生物検査や画像検査の新しい技術が開発されている。IEの診断後直ちに、感染性疾患、循環器および心臓外科の専門家による集学的医療チームが管理することが最も望ましい。IEの予防を目的とした抗菌薬の予防的投与については意見が分かれている。よくあるIEの原因菌を標的にしたワクチンの開発が進められているが、まだ発売に至っていない。
PrimeView
このPrimeViewでは、一般的に細菌感染により心臓の心内膜表面に起こる感染性心内膜炎(IE)の病態生理について取りまとめる。IEでは、とりわけ心臓、肺、腎および神経血管の症状が現れる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2016.59