Primer
乾癬(かんせん)
Nature Reviews Disease Primers
2016年11月24日
Psoriasis
乾癬は皮膚だけでなく全身の症状を呈する慢性免疫介在性疾患であり、患者のQOLに深刻な悪影響を及ぼす。乾癬は多遺伝子性疾患であるが、明確な遺伝的基盤を有している。乾癬の説明可能な遺伝的影響の約半分が主要組織適合遺伝子複合体にマッピングされているが、他にも70以上の遺伝子座が同定されており、それらの多くが核因子-κB、インターフェロンシグナル伝達およびIL-23-IL-23受容体軸に関係している。乾癬の病態生理は、真皮および表皮での角化細胞の異常増殖と免疫細胞の浸潤を特徴としている。これには自然免疫系と獲得免疫系の異常が関係しており、中でも樹状細胞とT細胞が重要な役割を担っている。通常、リウマチ性と心血管系の合併症が多く見られ、乾癬性関節炎の頻度が特に高い。現在、乾癬の治療には、外用療法や光線療法のほかにも、従来の全身性薬物や生物学的製剤も使用されている。これらの治療は単独で行われることもあれば併用される場合もある。中等度から重度の乾癬の場合、特定の疾患メディエーターを標的にした生物学的療法が治療の中心になるが、軽度から中等度の乾癬では治療の進歩は限られている。
PrimeView
乾癬は、皮膚症状(鱗屑を伴う紅斑を呈することが多い)およびリウマチ性の合併症(乾癬性関節炎)を特徴とする慢性免疫介在性疾患である。このPrimeViewでは、乾癬の病変、特に免疫反応の変化につながる発症機構を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2016.82