Primer
円形脱毛症
Nature Reviews Disease Primers
2017年3月16日
Alopecia areata
円形脱毛症は自己免疫疾患の1つで、一過性の非瘢痕性脱毛と毛包の維持を特徴としている。脱毛には輪郭が明瞭な斑状の脱毛をはじめ、びまん性脱毛や全脱毛などの多くの種類が存在し、どの有毛部位にも発生する可能性がある。最もよく見られる型は頭皮にできる斑状の円形脱毛である。一般集団の約2%が一生のうちに円形脱毛症を発症する。成長期(毛髪の成長期)の毛球または毛包下部とその周辺へのリンパ球の浸潤が脱毛部の皮膚生検で認められる。円形脱毛症の主因は毛包での免疫特権の崩壊と考えられている。円形脱毛症が複雑な多遺伝子性疾患であることがヒトやマウスモデルの遺伝学的研究から明らかにされている。毛包の周期と成長に重要なシグナル伝達経路と関連するいくつかの遺伝学的感受性遺伝子座も同定されている。通常、円形脱毛症の診断は臨床症状に基づいて行われるが、ダーモスコピーや組織病理学が有用な場合がある。円形脱毛症を医学的に管理することは難しいが、分子機構の理解の進歩に伴い、近い将来に新しい治療法が開発されて寛解する可能性があることが明らかにされている。
PrimeView
円形脱毛症は、毛包の損失を伴わない可逆的な脱毛を特徴とする自己免疫疾患である。このPrimeViewでは、頭皮の斑状の脱毛や全身の体毛の全脱毛など、本疾患のさまざまな臨床症状を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.11