パーキンソン病
Nature Reviews Disease Primers
2017年3月23日
Parkinson disease
パーキンソン病は2番目によく見る神経変性疾患で、65歳以上の集団の2–3%が罹患している。線条体のドパミン欠損を引き起こす黒質の神経細胞脱落やαシヌクレインの凝集体の細胞内封入体の形成は、パーキンソン病の神経病理学的特徴である。他の多様な細胞も、おそらく疾患早期から中枢および末梢自律神経系を介して関与している。パーキンソン病の臨床診断は寡動をはじめ、主要な運動特性の所見によって行われるが、この疾患には、全般的障害に含まれる多くの非運動症状が関連している。分子的病因には、αシヌクレインのタンパク質恒常性、ミトコンドリア機能、酸化的ストレス、カルシウム恒常性、軸索輸送および神経炎症などの複数の経路および機構が関与している。診断バイオマーカーに関する最近の研究で、PET、単一光子放射断層撮影(SPECT)および新しいMRI技術などの方法を取り入れた神経イメージングの活用が早期診断や鑑別診断に役立つことが明らかにされている。線条体のドパミン置換療法がパーキンソン病治療の中心になるが、難治性のL-DOPA関連運動合併症の症例では、運動症状および非運動症状と深部脳刺激のいずれにも対処するためにドパミン作動性薬投与以外のアプローチが行われる。実験的治療では、遺伝子レベルや細胞レベルでのアプローチによる線条体のドパミンの回復が試みられており、最近ではαシヌクレインの凝集および細胞輸送が治療標的となっている。現在のところ、最大の課題の1つは、パーキンソン病の前駆期でのマーカーを同定することであり、これによって、新しい疾患修飾治療を早期に開始することができると考えられる。
PrimeView
パーキンソン病は大脳基底核のドパミン欠損と関連する神経変性疾患で、運動症状が発現する数年前に、嗅覚の低下や睡眠障害などの非運動症状が現れることがある。このPrimeViewでは、このようなパーキンソン病の臨床経過について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.13