Primer
う蝕
Nature Reviews Disease Primers
2017年5月25日
Dental caries
う蝕は、糖分によるバイオフィルムの形成を介する多因子性の動的疾患であり、歯牙硬組織の段階的な脱灰と再石灰化につながる。う蝕は生涯にわたって発生し得るものであり、乳歯歯列か永久歯列かにかかわらず歯冠が損傷を受け、晩年には根面が露出する。う蝕の発生と進行は病理学的因子と保護的因子のバランスによって影響される。この因子間の相互作用に基づいて、患者の層別化とう蝕のリスクカテゴリーの分類が可能になり、個別化治療への道筋が開けている。う蝕の発生分布は均一ではなく、大きな経済的負担とQOLの負担を伴うが、予防が可能な疾患である。この数十年間に世界でみられたう蝕の全体的減少は、フッ化物配合歯磨き剤の連日使用が主な原因と考えられている。このPrimerの目的は、う蝕の世界的視点を解説することであり、外科的方法によるう蝕の修復が治療の大半を占めていた時代だけでなく、とりわけ、進歩的でより長期のホリスティックケアによる患者中心の歯を保存する最新の予防法に焦点を合わせて取りまとめる。
PrimeView
う蝕の形成は、あらゆる年齢で認められ、歯、歯の表面の微生物のバイオフィルム、および糖分との相互作用が関与している。このPrimeViewでは、PittsらのPrimerをもとにして、う蝕形成の病態生理学を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.30