Primer
肥満
Nature Reviews Disease Primers
2017年6月15日
Obesity
肥満における脂肪の過剰蓄積は多因子病因によるものであるが、一般的にはエネルギーの摂取と消費の不均衡の結果であると考えられている。肥満の蔓延防止に特化した公衆衛生政策や個別の治療努力が行われているにもかかわらず、世界では20億人以上の過体重者と肥満者が存在している。過剰な体重増加とその関連併存疾患を理解するには、脂肪組織の恒常性に加えて、中枢神経系回路網、熱量代謝回転、および代謝を知ることが重要である。見かけ上健康であっても肥満はQOLに多大な影響を及ぼす。肥満治療では、食餌、身体活動または運動や生活習慣の修正が基本になるが、薬物治療や肥満手術も重要な選択肢になりつつある。家族歴、食品環境、文化的嗜好、食物有害反応、周産期栄養、既往症と現疾患、および身体活動パターンは、肥満治療に従事する医療従事者にとって重要な関連事項である。しかし、現在蔓延している肥満に対する重大な環境要因や社会経済的要因への臨床医や医療従事者の取組みは不十分であることが多い。最後に、“オミクス”技術を活用して、エピジェネティック因子、遺伝因子ならびに代謝経路を解明することによって、肥満に対する精密医療が大きく推進される可能性がある。
PrimeView
世界の過体重と肥満の成人は21億人以上と推定されている。このPrimeViewでは、エネルギー消費の減少、エネルギーの過剰摂取、遺伝的性質、および社会的要因と文化的要因などの過体重と肥満のリスクを上昇する要因を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.34