Primer
女性尿失禁
Nature Reviews Disease Primers
2017年7月6日
Urinary incontinence in women
女性の尿失禁症状の罹患率は高い。本症は健康関連QOLに大きく影響するだけでなく、個人や社会の支出の増加にも関与している。尿失禁は次の2つに大別され、尿漏出に身体運動が関係する腹圧性尿失禁と、突然の強い尿意により尿が漏出する切迫性尿失禁が知られている。これらの両方の症状が認められる場合は混合性尿失禁と考えられている。尿失禁は、排尿筋や骨盤底筋群の機能障害、尿の貯留や排出を制御する神経機能障害、および膀胱内環境の悪化などが重なって起こることが研究で明らかにされている。尿失禁の完全診断的評価では、病歴聴取、身体検査、尿検査、QOL評価などが行われるが、初期治療が成功しなかった場合には侵襲的尿流動態検査が実施される。尿失禁の介入には、生活習慣の修正、骨盤底筋群の強化や薬物治療などの非外科的方法に加えて、尿道組織の支持や膀胱容量の増加を目的とした外科的方法がある。今後は、尿失禁の環境的および遺伝的リスクを解明することで、一次予防を主眼とした研究に方向付けされるだろう。
PrimeView
女性尿失禁は妊娠中をはじめ出産または閉経の後に起こることが多く、時間の経過とともに症状が改善することもあれば悪化することもある。このPrimeViewでは、本症の複雑な発症機構をはじめ診断や治療について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.42