Primer
収縮能が低下した心不全
Nature Reviews Disease Primers
2017年8月24日
Heart failure with reduced ejection fraction
心不全は世界の公衆衛生問題であり、全世界で2,600万人以上が罹患している。心不全による負担は世界規模で増加の一途をたどり、今後も高齢化に伴い、ますます増えるとみられている。米国では「収縮能が低下した心不全」が心不全の全症例の約50%を占めており、高い罹患率とQOLの低下に関連している。心筋梗塞、ある種の感染症、内分泌疾患を含むいくつかの疾患によって、心室機能の低下から心不全へとつながる重大な病態生理学的過程が開始される。発症初期では、交感神経系およびレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化の代償として心室機能が障害されるが、両経路の活性化が慢性化すると心機能が悪化していく。心不全の症状は、他の疾患とも関連しており、呼吸困難、疲労、運動負荷および体液貯留の制限などがみられるため診断が困難になる場合がある。管理方法では、薬物治療に加えて心機能を調節する植込み機器が使用される。これらの治療が提供されているにも関わらず、心不全は依然として治癒困難な疾患であり、予後不良で死亡率も高い。したがって、新しい治療法の開発が不可欠であり、さらなる研究が求められる。
PrimeView
このPrimeViewでは、ButlerらがPrimerで解説した「収縮能が低下した心不全」の内容にそって、患者の管理に重要な心不全の診断と病期分類を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi: 10.1038/nrdp.2017.58