Primer

特発性肺線維症

Nature Reviews Disease Primers

2017年10月20日

Idiopathic pulmonary fibrosis

特発性肺線維症
拡大する

特発性肺線維症(IPF)は、慢性進行性肺疾患の1つで、肺瘢痕化の進展と通常型間質性肺炎(UIP)の組織像を特徴としている。IPFは咳や呼吸困難の増加と関連しているため、患者のQOLが低下する。IPFは世界で約3百万人が罹患しており、年齢とともに罹患率が劇的に増加する。通常、高分解能CT所見でのUIPパターンの有無によって、他の間質性肺疾患または重複疾患との除外診断が行われる。一部の患者では肺生検が必要になることがある。UIPパターンは、大部分が両側性かつ末梢性であり、牽引気管支拡張および胸膜下のクラスター状の嚢胞性気腔と関連している網状影が基底部に認められる。IPF発症の生物学的プロセスは、遺伝的感受性の高い高齢者の反復性肺胞上皮損傷に対する修復異常を反映すると考えられているが、感受性の定義には多くの疑問が残っている。治療では、ピルフェニドンとニンテダニブによる薬物療法が可能になってから、IPFの生理学的進行が抑制されて、無増悪生存期間の改善が認められるようになり、IPFの臨床管理への理解が大きく進展した。現在、循環因子をはじめ、人口統計や画像データなどのバイオマーカーを組み合わせることで、IPFを早期に同定する試みが進められている。

PrimeView
特発性肺線維症は、肺実質の線維性瘢痕を特徴とする慢性進行性で不可逆的な間質性肺疾患である。このPrimeViewでは、現在考えられているこの疾患の発症機構について要約している。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2017.74

レビューハイライト

レビューハイライトへ戻る

プライバシーマーク制度