Volume 415 Number 6870

今週のハイライト

目次

News & Views

炭疽菌:炭疽菌に技あり

Anthrax: A molecular full nelson p.373

炭疽菌の3つある毒素の最後の1つの結晶構造が明らかにされ、炭疽菌が宿主のシグナル伝達分子を機能できなくさせ、同じ分子を同時に自分の活性を高めるために使う仕組みがわかってきた。

doi: 10.1038/415373a

銀河系外天文学:宇宙観測の限界

Extragalactic astronomy: Cosmic censorship p.374

宇宙論学者は、宇宙が永久に膨張し続けると考えているが、それを観察する体制の充実は、宇宙の膨張速度には追いつかないだろう。このことは将来の天文学にとって何を意味するのだろうか?

doi: 10.1038/415374a

光合成:進化における選択肢

Photosynthesis: Evolutionary options p.375

タバコとセロリでC4光合成に関わる酵素が見つかった。このことから、高等植物でC4光合成経路がいつ、どのようにして進化したのか、たくさんのおもしろそうな問題が生まれてくる。

doi: 10.1038/415375a

ハンチントン病:神経殺しの共犯者

Huntington's disease: Accomplices to neuronal death p.377

ハンチントン病患者で見られる震えは、特定の神経細胞群が死ぬことが原因で起こる。この殺しの犯人が、変異の起こったハンチンチンタンパク質であることはよく知られているが、やはり犯人と目される別の物質が新たに見つかった。

doi: 10.1038/415377a

高温超伝導:量子的サラダドレッシング

High-temperature superconductivity: Quantum salad dressing p.379

高温超伝導体の電子が抵抗を受けずに流れる理由について謎がますます深まっている。新たな原子スケールでの描像によれば、酢と油のように容易に混ざらない2つの電子相があることが明らかになった。

doi: 10.1038/415379a

窒素循環:有機に向かう自然

Nitrogen cycle: Natural organic tendency p.381

溶存窒素は、通常、無機態で陸から海へ輸送されると考えられている。南米の温帯地域の河川に有機窒素が圧倒的に多く見られたという研究結果は、この考え方を再検討する必要があることを示している。

doi: 10.1038/415381a

細胞生物学:タンパク質の甘味料

Cell biology: Protein sweetener p.382

何年も失敗を繰り返した末、特定のオリゴ糖分子を小胞体(タンパク質が糖によって修飾される細胞内小器官の1つ)に送り込む過程に関与するタンパク質が特定された。

doi: 10.1038/415382a

Article

細胞:炭素菌アデニル酸シクラーゼ外毒素のカルモジュリンによる活性化の構造基盤

Structural basis for the activation of anthrax adenylyl cyclase exotoxin by calmodulin p.396

doi: 10.1038/415396a

Letters

宇宙:太陽スペクトル線の不可解な偏光の原因である選択吸収過程

Selective absorption processes as the origin of puzzling spectral line polarization from the Sun p.403

doi: 10.1038/415403a

物理:原子媒質中の遅い光を利用する事象の地平線の類似実験

A laboratory analogue of the event horizon using slow light in an atomic medium p.406

doi: 10.1038/415406a

物性:複合フェルミオンのサイクロトロン共鳴

Cyclotron resonance of composite fermions p.409

doi: 10.1038/415409a

材料:ドープ不足のBi2Sr2CaCu2O8+δにおける高Tc超伝導の粒状構造の画像化

Imaging the granular structure of high-Tc superconductivity in underdoped Bi2Sr2CaCu2O8+δ p.412

doi: 10.1038/415412a

生態:南米の汚染されていない森林では、窒素は主に溶存態有機物質を経て減損する

Nitrogen loss from unpolluted South American forests mainly via dissolved organic compounds p.416

doi: 10.1038/415416a

生態:英国でのヒツジのBSE感染という可能性からヒトの健康リスクを予測する

Estimating the human health risk from possible BSE infection of the British sheep flock p.420

doi: 10.1038/nature709

進化:評判が「共有資源の悲劇」の解決を助ける

Reputation helps solve the 'tragedy of the commons' p.424

doi: 10.1038/415424a

生態:種多様性は種間の促進作用を介して生態系の機能を増強する

Species diversity enhances ecosystem functioning through interspecific facilitation p.426

doi: 10.1038/415426a

神経:統計的に最適な方法による視覚情報と触覚情報の統合

Humans integrate visual and haptic information in a statistically optimal fashion p.429

doi: 10.1038/415429a

視覚:文脈調節におけるグループ化の効果

Effects of grouping in contextual modulation p.433

doi: 10.1038/415433a

医学:遺伝子発現に基づいた中枢神経系胎児性腫瘍の予後予測

Prediction of central nervous system embryonal tumour outcome based on gene expression p.436

doi: 10.1038/415436a

生理:ナトリウムチャネルのカルシウムセンサーは心臓の興奮性を調節している

A calcium sensor in the sodium channel modulates cardiac excitability p.442

doi: 10.1038/415442a

細胞:脂質と結合したオリゴ糖の膜を通過する転位にはRft1タンパク質が必要である

Translocation of lipid-linked oligosaccharides across the ER membrane requires Rft1 protein p.447

doi: 10.1038/415447a

細胞:C3顕花植物の茎と葉柄で行われるC4光合成の性質

Characteristics of C4 photosynthesis in stems and petioles of C3 flowering plants p.451

doi: 10.1038/415451a

生化学:嫌気性細菌の代謝は、熱力学的限界近くまで進行しうる

Anaerobic microbial metabolism can proceed close to thermodynamic limits p.454

doi: 10.1038/415454a

Review Article

進化:多細胞生物の抗菌ペプチド

Antimicrobial peptides of multicellular organisms p.389

doi: 10.1038/415389a

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