Volume 415 Number 6869

News & Views

量子物理学:重力の量子効果

Quantum physics: Quantum effects of gravity p.267

重力と量子力学の影響が重複するのはまれだが、それは関係するスケールが異なっているためだ。極低温中性子を使った実験で、その両方を同時に調べることが可能となった。

doi: 10.1038/415267a

糖尿病:いらないところばかりについた脂肪

Diabetes: Fat in all the wrong places p.268

肥満や先天的に脂肪細胞が欠乏するまれな状態においては、さまざまな組織の脂肪量が有害なレベルに達し、糖尿病を併発する。レプチンは、ミトコンドリアにおいて脂肪酸の酸化を引き起こすことで、これらの問題を治すのに役立つ。

doi: 10.1038/415268a

行動科学:我慢できないことの経済的意味合い

Behavioural science: The economics of impatience p.269

動物で実験をすると、すぐに手に入らない大きな利益よりも小さくともすぐに得られる利益が好まれる傾向がある。その結果、動物は総利益を最大化させることができない。多くのヒトも同じような行動を見せる。

doi: 10.1038/415269a

エイズワクチン:一難去ってまた一難

AIDS vaccines: One step forwards, one step back p.272

新たに開発されたエイズワクチンは、細胞で感染症をくい止めるが、感染防止はできないという応答を引き起こす。ウイルスが変異を起こせばこういった免疫による押さえ込みを逃れることも起こり得るから、効果の高いワクチンの開発が難しいことがよくわかる。

doi: 10.1038/415272b

凝縮系物理学:スピン話を盗み聞き

Condensed-matter physics: Eavesdropping on spin talk p.273

核や電子の「スピン相互作用」を利用して、データを保存、処理することは、長年の課題だ。半導体でスピンを操作する段階的な手法が低温での1つの解決方法となっている。

doi: 10.1038/415273a

細胞生物学:ひと味ちがった塩素イオンチャネル

Cell biology: Chloride channels are different p.276

塩素イオンの輸送に関わるタンパク質はさまざまな細胞過程に欠くことができない。塩素イオンチャネルの結晶構造の解析がやっと行われて、このタンパク質がどんな形なのかが明らかにされ、チャネルの機能する仕組についてのヒントが得られた。

doi: 10.1038/415276a

分子神経生物学:可塑性を亢進するのは

Molecular neurobiology: Priming plasticity p.277

神経細胞は化学物質を使って情報伝達を行っている。このような伝達物質は「プライミング段階」の後にニューロンから放出される。このプライミング段階が化学物質の伝達量を調節する鍵となっている可能性がある。

doi: 10.1038/415277a

Articles

工学:半導体における電子と核の間のスピン相互作用をゲート電圧で制御

Gate-voltage control of spin interactions between electrons and nuclei in a semiconductor p.281

doi: 10.1038/415281a

細胞:分解能3.0ÅでのClC型塩素イオンチャネルのX線構造解析から明らかにされた分子レベルでの陰イオン選択性の基盤

X-ray structure of a ClC chloride channel at 3.0 A reveals the molecular basis of anion selectivity p.287

doi: 10.1038/415287a

Letters

宇宙:老星を覆うダストシェルから検出された炭酸塩

Detection of carbonates in dust shells around evolved stars p.295

doi: 10.1038/415295a

物理:地球の重力場での中性子の量子状態

Quantum states of neutrons in the Earth's gravitational field p.297

doi: 10.1038/415297a

物性:高温超伝導体で印加磁場により誘起される

Antiferromagnetic order induced by an applied magnetic field in a high-temperature superconductor p.299

doi: 10.1038/415299a

化学:1‐ヨードプロパンイオンの光解離におけるコンホメーション特異的経路の観測

Observation of conformation-specific pathways in the photodissociation of 1-iodopropane ions p.306

doi: 10.1038/415306a

進化:魚竜類の尾びれの推進力と遊泳速度に見られるスケーリング効果

Scaling effects in caudal fin propulsion and the speed of ichthyosaurs p.309

doi: 10.1038/415309a

生態:メタン細菌に優占され、水素を消費する地下微生物群集

A hydrogen-based subsurface microbial community dominated by methanogens p.312

doi: 10.1038/415312a

発生:蝶の目玉模様の量的多様性におけるDistal-less遺伝子の関与

Contribution of Distal-less to quantitative variation in butterfly eyespots p.315

doi: 10.1038/415315a

視覚:霊長類側頭葉の特徴選択性は視覚範疇分け学習によって影響される

Visual categorization shapes feature selectivity in the primate temporal cortex p.318

doi: 10.1038/415318a

神経:RIM1αは活性帯での神経伝達物質放出を調節するためのタンパク質の骨組を形成する

RIM1 forms a protein scaffold for regulating neurotransmitter release at the active zone p.321

doi: 10.1038/415321a

神経:RIM1αはシナプス前性の長期増強に必要である

RIM1 is required for presynaptic long-term potentiation p.327

doi: 10.1038/415327a

医学:複製能力のないアデノウイルスワクチンベクターは、免疫不全ウイルスに対する効果的な免疫を誘発する

Replication-incompetent adenoviral vaccine vector elicits effective anti-immunodeficiency-virus immunity p.331

doi: 10.1038/415331a

医学:ウイルスが細胞傷害性Tリンパ球から逃れて失敗に終わったアカゲザルのエイズワクチン

Eventual AIDS vaccine failure in a rhesus monkey by viral escape from cytotoxic T lymphocytes p.335

doi: 10.1038/415335a

生理:レプチンは、AMPで活性化されるタンパク質キナーゼ(AMPK)を活性化して脂肪酸酸化を促進する

Leptin stimulates fatty-acid oxidation by activating AMP-activated protein kinase p.339

doi: 10.1038/415339a

生化学:α‐溶菌プロテアーゼのエネルギー状態では速度論的安定性により活性状態の長さが最適化される

Energetic landscape of -lytic protease optimizes longevity through kinetic stability p.343

doi: 10.1038/415343a

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