Volume 419 Number 6905

News & Views

植物と菌類の関係:いい仲が悪くなる時

Plant-fungal interactions: When good relationships go bad p.345

菌類と植物の、菌根菌を介したつながりは、普通は相互に利益をもたらすと考えられている。しかし、光合成を行わない植物の中には、パートナーである菌根菌をだましているものもある。分子生物学的手法を用いて、ただ働きをさせられている菌類がどれか、突き止めることができた。

doi: 10.1038/419345a

化学:対掌体の偏りを説明

Chemistry: Shattered mirrors p.346

生体分子では対掌体(光学異性体)の片方だけが存在するが、こういう方向性はどのようにして生じたのだろう。対掌体の存在する分子の混合物中に生じたほんのわずかな偏りを増幅してみた実験は、偶然の産物という答えを支持するものとなった。

doi: 10.1038/419346a

膜輸送:小胞はどうやって作られる

Membrane transport: The making of a vesicle p.347

細胞内のある区画から別の区画へ分子を輸送するには、膜で包まれた輸送体が必要になることが多い。新たな研究により、膜からこういう小胞を作り出すのと、積み荷の選択との関連についての知見が得られた。

doi: 10.1038/419347a

ウイルス学:出入りは自由自在

Virology: Ins and outs p.349

ウイルスは、宿主をどのように利用するかについて、絶え間なく工夫をこらしている。例えば、アデノウイルスは、同じ細胞内タンパク質を、ヒトの肺の内壁を作っている上皮細胞の層に入り込むのにも、そこから出るのにも利用している。

doi: 10.1038/419349a

惑星科学:火星の気候をたどってみると

Planetary science: Tracking the martian climate p.350

火星も、地球と同じく、気候条件の長期にわたる変動を経験してきた。変動の一部は、火星の惑星としての挙動の変化が原因で起こったことが、今回突き止められた。

doi: 10.1038/419350a

細胞生物学:死のシグナルが外される時

Cell biology: Unchaining the condemned p.351

細胞内のタンパク質は、死の宣告を受けると囚人よろしく足かせをつけられて、分解されるのを待つことになる。こういう足かせは、そのタンパク質は分解すべきだというシグナルであって、タンパク質の分解に際して除去される。その仕組みが新たな研究により解明された。

doi: 10.1038/419351a

化学:2つの材料の長所を併せ持つ超分子性電子材料

Chemistry: Material marriage in electronics p.353

自己集合性を持つ分子は電子材料として有用な構造を作り出せる。このような超分子材料は、高分子の長所と有機結晶系の持つ長所を兼ね備えている。

doi: 10.1038/419353a

Articles

細胞:エプシンが誘導するクラスリン被覆小窩の湾曲

Curvature of clathrin-coated pits driven by epsin p.361

doi: 10.1038/nature01020

医学:マウスのハーレクイン変異はアポトーシス誘導因子を下方制御する

The harlequin mouse mutation downregulates apoptosis-inducing factor p.367

doi: 10.1038/nature01034

Letters

宇宙:火星の極の層状堆積物に対する公転の影響

Orbital forcing of the martian polar layered deposits p.375

doi: 10.1038/nature01066

化学:ペロブスカイト型チタン酸化物の原子スケール超格子における人工電荷変調

Artificial charge-modulationin atomic-scale perovskite titanate superlattices p.378

doi: 10.1038/nature00977

材料:無定形材料における中間距離秩序の設計

Designing intermediate-range order in amorphous materials p.381

doi: 10.1038/nature01022

材料:超分子性らせん状デンドリマーの複合電子材料への自己組織化

Self-organization of supramolecular helical dendrimers into complex electronic materials p.384

doi: 10.1038/nature01072

生態:珪藻類濃度の高い海洋生態系におけるカイアシ類の孵化成功度

Copepod hatching success in marine ecosystems with high diatom concentrations p.387

doi: 10.1038/nature01055

植物:アーバスキュラー菌根菌上に特殊化した寄生植物

Epiparasitic plants specialized on arbuscular mycorrhizal fungi p.389

doi: 10.1038/nature01054

神経:網膜軸索の反発性誘導分子RGM

RGM is a repulsive guidance molecule for retinal axons p.392

doi: 10.1038/nature01041

免疫:カスパーゼ-8変異によって引き起こされるリンパ球活性化の多面的な欠陥はヒトの免疫不全症を引き起こす

Pleiotropic defects in lymphocyte activation caused by caspase-8 mutations lead to human immunodeficiency p.395

doi: 10.1038/nature01063

A cryptic protease couples deubiquitination and degradation by the proteasome p.403

doi: 10.1038/nature01071

生理:活性な遺伝子はヒストンH4のK4でトリメチル化される

Active genes are tri-methylated at K4 of histone H3 p.407

doi: 10.1038/nature01080

細胞:DNA二本鎖切断の修復には、Esa1によるヒストンH4のアセチル化が必要である

Acetylation of histone H4 by Esa1 is required for DNA double-strand break repair p.411

doi: 10.1038/nature01035

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