Volume 421 Number 6919

今週のハイライト

目次

News & Views

惑星科学:磁気の謎を解く新モデル

Planetary science: Model for magnetic mystery p.119

現在の月には磁場はない。しかし月の岩石の分析からは、過去には磁場が存在したことがうかがわれる。数十億年前に月の内部に起こった変化は磁気ダイナモを作り出したのだろうか?

doi: 10.1038/421119a

発生生物学:幼生現る

Developmental biology: A larval revelation p.120

海生無脊椎動物の1つであるウミユリのこれまで知られていなかった幼生形態が観察された。これは進化研究における記述科学の重要性を新たに思い起こさせるおもしろい研究である。

doi: 10.1038/421120a

地球環境変化:前触れがあってから遅滞し、やっと熱帯になる

Global change: Leads, lags and the tropics p.121

異なるデータセットを関連づけるという問題を巧みに回避する方法により、最後の大規模な氷河退氷期にどういう順序でものごとが起こったかが、かなり詳しくわかるようになった。

doi: 10.1038/421121a

分子系統学:DNAバーコードで記録

Molecular systematics: Counting angels with DNA p.122

従来使われてきた方法では、生物の多様性を記述することは不可能である。進むべき道は分子レベルの方法だが、特にDNAを使う分子バーコードシステムが有力となりそうだ。

doi: 10.1038/421122a

材料科学:炸裂また炸裂

Materials science: Bursting apart p.124

粘度の低い液体を、弾性をもつ材料中に注入すると、液体は細いひび割れをランダムに作ってその中を進んでいき、ひびのパターンはフラクタルとなる。ひびの広がり方は、破裂が次々に起こると考えてモデル化できる。

doi: 10.1038/421124a

生理学:マウスで見つかったコストのかからない長命法

Physiology: Cost-free longevity in mice? p.125

線虫では、変異が生じると寿命が延びるタンパク質が数百個見つかっている。こういう研究は、哺乳類の老化についても役立つだろうか。マウスを使った研究で、そういうタンパク質の1つの効果が調べられ、哺乳類でも役立つことがわかってきた。

doi: 10.1038/421125a

Articles

環境:ヨーロッパからメチルクロロフォルム放出の継続

Continuing emissions of methyl chloroform from Europe p.131

doi: 10.1038/nature01311

医学:口蹄疫に対するワクチン接種の戦略モデル

Modelling vaccination strategies against foot-and-mouth disease p.136

doi: 10.1038/nature01343

Letters

宇宙:熱化学的なマントル対流により駆動された初期の月の核内ダイナモ

An early lunar core dynamo driven by thermochemical mantle convection p.143

doi: 10.1038/nature01267

物理:乱流の激しい回転と散逸を測る

Measuring intense rotation and dissipation in turbulent flows p.146

doi: 10.1038/nature01334

化学:ネマチック液晶における表面とバルクの相転移の観察

Observation of surface and bulk phase transitions in nematic liquid crystals p.149

doi: 10.1038/nature01331

海洋:退氷期にインド‐太平洋の暖水プールに生じた水温変化の大きさとタイミング

Magnitude and timing of temperature change in the Indo-Pacific warm pool during deglaciation p.152

doi: 10.1038/nature01297

進化:現生ウミユリ(棘皮動物有茎ウミユリ類)の幼生期

Larval stages of a living sea lily (stalked crinoid echinoderm) p.158

doi: 10.1038/nature01236

視覚:節足動物による物体間の距離の確固たる判定

Robust judgement of inter-object distance by an arthropod p.160

doi: 10.1038/nature01247

遺伝:イネの活性型DNAトランスポゾンファミリー

An active DNA transposon family in rice p.163

doi: 10.1038/nature01214

遺伝:植物のMITE mPingは葯培養で動き出す

The plant MITE mPing is mobilized in anther culture p.167

doi: 10.1038/nature01218

遺伝:イネゲノムにおけるトランスポゾンの可動

Mobilization of a transposon in the rice genome p.170

doi: 10.1038/nature01219

発生:心臓内の流体力は胚の心臓形成に必須の後成的要因である

Intracardiac fluid forces are an essential epigenetic factor for embryonic cardiogenesis p.172

doi: 10.1038/nature01282

生理:哺乳類の概日時計では、周期的なヒストンアセチル化が転写変動の基盤となっている

Rhythmic histone acetylation underlies transcription in the mammalian circadian clock p.177

doi: 10.1038/nature01314

生理:IGF-1受容体がマウスの寿命と酸化ストレス耐性を制御する

IGF-1 receptor regulates lifespan and resistance to oxidative stress in mice p.182

doi: 10.1038/nature01298

Srb10/Cdk8 regulates yeast filamentous growth by phosphorylating the transcription factor Ste12 p.187

doi: 10.1038/nature01243

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