Volume 425 Number 6957

今週のハイライト

目次

News Features

科学はイスラエル・パレスチナ紛争を越えられるか

p.444

ここ何週間かの間に、自爆テロとそれに続くパレスチナ過激派の暗殺のために、イスラエルとパレスチナの「和平ロードマップ」はずたずたになってしまった。この暴力と絶望の堂々巡りの中で、イスラエルとパレスチナの科学分野での連携が生き残れるものだろうか。Natureはこの地域を訪ねて、イスラエル、パレスチナ双方の科学者たちに、この悲惨きわまりない衝突によって科学者たちの仕事にどのような影響が及んでいるかについて質問した。まれではあるが、これが決定打になったケースもある。表紙は、紛争の種となっているコンクリート製の「治安壁」によじ登るパレスチナ人の若者(写真撮影:Mahfouz Abu Turk/ロイター)。この治安壁は、ヨルダン川西岸地区とイスラエルを分離するためにイスラエルがカルキリヤ近傍に建設している。

doi: 10.1038/425444a

News & Views

堆積学:氾濫の記録

Sedimentology: Floods of record p.459

ボリビアにある2つの河川についての調査から、これらの河の氾濫がいつ、どのようにして起こったのかがわかってきた。これらの研究はまた、河の氾濫の後に残された堆積物を地球の歴史の記録とする際の解釈に関する指針も与えてくれる。

doi: 10.1038/425459a

免疫学:危険な関係

Immunology: Dangerous liaisons p.460

侵入してきた微生物に立ち向かうように免疫系を変更するのは、効率的な免疫反応には欠かせない。傷害を受けた細胞から放出される尿酸は危険信号となって、免疫担当細胞に微生物の攻撃を知らせることができる。

doi: 10.1038/425460a

発生生物学:一ひねりして形をつける

Developmental biology: Twisting the body into shape p.461

発生中の胚でパターンと形態の形成に働く力は分子シグナルだけではない。ボディープランの創出には、細胞が力学的なひずみを感知することも関わっているらしい。

doi: 10.1038/425461a

化学:平面世界の鏡

Chemistry: Mirrors in Flatland p.463

2種類の鏡像異性体を持つ分子はたくさんある。こういう異性体は、生物学的性質が異なっている。固体キラル表面を作ってやるという新しい手法により、鏡像異性体の一方だけを合成・精製することがもっと簡単になるかも知れない。

doi: 10.1038/425463a

神経生物学:シナプスでのやりとり

Neurobiology: Backchat at the synapse p.464

神経細胞はシナプスで神経伝達物質を放出する。放出された伝達物質はほかの神経細胞や筋肉に影響を及ぼす。こういう筋肉が逆に神経伝達物質の放出に影響を与える仕組みに関する研究からは、作業中のシナプスがどのようにして変化に適応していくのかがわかってくる。

doi: 10.1038/425464a

材料:締め上げられた後で丸め込まれた分子

Materials science: Molecules squeezed and stroked p.467

ソフトな要素は、ハードな状況下に追い込まれると見つかることが多い。鎖がもつれたような形の分子を、固い表面に挟んで絞り出してから、滑らせて落ち着かせると、滅多に見られないくらい秩序だった構造になることがわかった。

doi: 10.1038/425467a

発生生物学:パートナーの合体

Developmental biology: Partners united p.468

科学の問題の解決法は1つだけではないことが多い。同じ問題に関してちがう取り組み方がされ、2つのシグナル伝達タンパク質のパートナー捜しが行われた結果、これら2つが結合し合うことが明らかになった。

doi: 10.1038/425468a

細胞生物学:細胞数を調節するhippo遺伝子 

Cell biology: The hippo hypothesis p.469

ショウジョウバエの目の完璧さや腫瘍の無秩序な性質を見ると、細胞死と増殖が系統だって起こることの重要さがよく理解できる。こういう事象の基盤となる仕組みの複雑さが段々にわかりつつある。

doi: 10.1038/JNature6957nwvi-8

Article

進化:寄生蠕虫類の複雑な生活環の進化

Evolution of complex life cycles in helminth parasites p.480

doi: 10.1038/nature02012

Letters

技術:単一磁気抵抗素子によるプログラマブル・コンピューティング

Programmable computing with a single magnetoresistive element p.485

doi: 10.1038/nature02014

物理:プラズモン励起による異方的なナノ粒子成長の制御

Controlling anisotropic nanoparticle growth through plasmon excitation p.487

doi: 10.1038/nature02020

化学:キラル触媒のエナンチオ特異的電析

Enantiospecific electrodeposition of a chiral catalyst p.490

doi: 10.1038/nature01990

気候:アマゾンの氾濫原での事象ごとに起こる堆積はエルニーニョ/南方振動に影響される

Episodic sediment accumulation on Amazonian flood plains influenced by El Nino/Southern Oscillation p.493

doi: 10.1038/nature02002

地球:地震学的異方性から推定された死海トランスフォーム断層下における境界層のマントル流

Boundary-layer mantle flow under the Dead Sea transform fault inferred from seismic anisotropy p.497

doi: 10.1038/nature01982

進化:デボン紀前期層で出土した関節のある化石標本として最古の軟骨魚類

The oldest articulated chondrichthyan from the Early Devonian period p.501

doi: 10.1038/nature02001

生態:温度条件はN2固定異質細胞性シアノバクテリアの熱帯海域における生存を妨げる

Temperature excludes N2-fixing heterocystous cyanobacteria in the tropical oceans p.504

doi: 10.1038/nature01999

発生:Jelly belly タンパク質は受容体型チロシンキナーゼ Alk を活性化し内臓筋パイオニア細胞の発生運命を決定する

Jelly belly protein activates the receptor tyrosine kinase Alk to specify visceral muscle pioneers p.507

doi: 10.1038/nature01916

発生:Jeb はAlk 受容体チロシンキナーゼを介して内臓筋の融合を促進するシグナルを伝達する

Jeb signals through the Alk receptor tyrosine kinase to drive visceral muscle fusion p.512

doi: 10.1038/nature01950

免疫:死にかけている細胞に対して免疫系に警戒態勢をとらせる危険シグナル分子の同定

Molecular identification of a danger signal that alerts the immune system to dying cells p.516

doi: 10.1038/nature01991

細胞:植物でのグルコースとエチレンによるシグナル伝達はEIN3の安定性に対し異なる制御を行う

Differential regulation of EIN3 stability by glucose and ethylene signalling in plants p.521

doi: 10.1038/nature01984

視覚:桿体と錐体の光伝達における視色素の特性が果たす役割

Role of visual pigment properties in rod and cone phototransduction p.526

doi: 10.1038/nature01992

生化学:哺乳類のカルシウム依存性Slo1 BKチャネルはヘムの結合で阻害される

Haem can bind to and inhibit mammalian calcium-dependent Slo1 BK channels p.531

doi: 10.1038/nature02003

構造生物学:スタフィロコアグラーゼは補助因子によるチモーゲン活性化機構の基本形である

Staphylocoagulase is a prototype for the mechanism of cofactor-induced zymogen activation p.535

doi: 10.1038/nature01962

Review Article

生化学:ヒストンやその他のタンパク質の生物機能におけるバイナリースイッチと修飾カセット

Binary switches and modification cassettes in histone biology and beyond p.475

doi: 10.1038/nature02017

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