Volume 425 Number 6956

今週のハイライト

目次

News & Views

免疫学:職業上の秘密

Immunology: Professional secrets p.351

抗原提示を専門とするある種の免疫細胞の細胞内小区画の内部を調べてみたところ、外来の病原体を殺すという免疫系の応答を開始する仕組みが明らかになった。

doi: 10.1038/425351a

プラズマ物理学:実験室で作る宇宙の波

Plasma physics: Cosmic waves in the lab p.352

大気科学や宇宙物理学では基本的な性質の1つであるアルヴェン波メーザが実験室内で作られた。これは、宇宙でおこる現象を地球上で研究する方法をさらに増やすものだ。

doi: 10.1038/425352a

幹細胞:生きるべきか、死ぬべきか

Stem cells: To be and not to be p.353

幹細胞は分裂して、自己と全く同じ娘細胞ともっと特殊化した細胞を作り出すという機能をもっていると長く考えられてきた。新たな研究が、そういう非対称的な分裂とその分子基盤を明らかにしている。

doi: 10.1038/425353a

合成化学:空にするのに中身を使う 

Synthetic chemistry: Ship reverses out of bottle p.356

ゼオライトの合成には、反応過程で分解されるある有機材料が必要だが、この物質のコストが高いことが工業的応用のネックとなっていた。しかし今回、巧妙な手法でこの問題が解決された。

doi: 10.1038/425356b

癌:惹き付けるのには訳がある

Cancer: The rules of attraction p.357

癌細胞だけでなく、正常な細胞にも存在するタンパク質に結合する薬剤が、どうやって腫瘍だけを殺すことができるのか、この難問が今回解決された。標的タンパク質は、腫瘍細胞中では薬剤と結合しやすい複合体を形成していたのである。

doi: 10.1038/425357a

応用物理学:スピントロニクスで得られるマイクロ波振動

Applied physics: Spintronics gets a magnetic flute p.359

未来の磁気記憶装置は、電子のスピンの方向を切り換えることを使う「スピントロニクス」を基盤としたものになるかもしれない。新たな研究により、スピン切り換えの基盤となる物理学的性質が実証された。

doi: 10.1038/425359a

動物学:舵にそっと触ると

Zoology: Light touch on the rudder p.360

アンドンクラゲの幼生の持っている細胞は5種類だけである。しかし。その1つは実に多彩な役割を果たす。この細胞は光感知用に適応するだけでなく、クラゲの進行方向を決める舵ともなるらしい。

doi: 10.1038/425360a

植物科学:水の入り口

Plant biology: Water gate p.361

水浸しになると植物の根は水を吸収する能力が低下する。この逆説的現象の分子基盤には、根の細胞にあって水を取り込むチャネルのタンパク質がpHにより調節されていることが関わっている。

doi: 10.1038/425361a

Article

地球:中米海溝地域における屈曲に関連した断層とマントルの蛇紋岩化

Bending-related faulting and mantle serpentinization at the Middle America trench p.367

doi: 10.1038/nature01961

Letters

宇宙:カッシーニ探査機との無線リンクを用いた一般相対性理論の検証

A test of general relativity using radio links with the Cassini spacecraft p.374

doi: 10.1038/nature01997

物理:流体流における一様で無秩序な共鳴混合

Uniform resonant chaotic mixing in fluid flows p.376

doi: 10.1038/nature01993

物性:スピン偏極電流によって引き起こされるナノ磁石のマイクロ波振動

Microwave oscillations of a nanomagnet driven by a spin-polarized current p.380

doi: 10.1038/nature01967

技術:エレクトロウェッティングを利用したビデオ速度の電子ペーパー

Video-speed electronic paper based on electrowetting p.383

doi: 10.1038/nature01988

材料:ゼオライトおよびゼオライト類似物質の燃焼処理不要の合成方法

A combustion-free methodology for synthesizing zeolites and zeolite-like materials p.385

doi: 10.1038/nature01980

古生態:北米の鮮新世前期の北極圏哺乳動物相

An Arctic mammal fauna from the Early Pliocene of North America p.388

doi: 10.1038/nature01892

心理:自由参加制の公共財ゲームではジャンケン型の動態が生じる

Volunteering leads to rock?paper?scissors dynamics in a public goods game p.390

doi: 10.1038/nature01986

生化学:無酸素ストレスを受けた根からの水輸送は細胞質のpH変化によるアクアポリンのゲート開閉によって調節される

Cytosolic pH regulates root water transport during anoxic stress through gating of aquaporins p.393

doi: 10.1038/nature01853

免疫:ER-ファゴソームの融合により限定される樹状細胞中のMHCクラスIクロスプレゼンテーション区画

ER?phagosome fusion defines an MHC class I cross-presentation compartment in dendritic cells p.397

doi: 10.1038/nature01911

免疫:ファゴソームは抗原クロスプレゼンテーションを行う能力を備えた細胞小器官である

Phagosomes are competent organelles for antigen cross-presentation p.402

doi: 10.1038/nature01912

医学:Hsp90阻害剤に腫瘍選択性を付与するのはHsp90の高親和性コンホメーションである

A high-affinity conformation of Hsp90 confers tumour selectivity on Hsp90 inhibitors p.407

doi: 10.1038/nature01913

生化学:RNAiエフェクター複合体中のミクロコッカスヌクレアーゼ類似体

A micrococcal nuclease homologue in RNAi effector complexes p.411

doi: 10.1038/nature01956

生化学:核内RNアーゼIIIであるDroshaはミクロRNAのプロセシングを開始させる

The nuclear RNase III Drosha initiates microRNA processing p.415

doi: 10.1038/nature01957

生化学:ヌクレオチドが結合していないミオシンVモーターの構造状態

A structural state of the myosin V motor without bound nucleotide p.419

doi: 10.1038/nature01927

生化学:極低温電子顕微鏡で明らかにされたミオシンのアクチンとの強い結合によるヌクレオチド解離の仕組み

Electron cryo-microscopy shows how strong binding of myosin to actin releases nucleotide p.423

doi: 10.1038/nature02005

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