Volume 565 Number 7740

Editorials

米国トランプ大統領の科学顧問を務めるのは大変なことだが、Kelvin Droegemeierが科学界に影響力を発揮する方法はある。

Advice for Trump’s adviser p.397

doi: 10.1038/d41586-019-00233-7

世界各地のコレラ菌の全ゲノム塩基配列情報は、この菌がどのように伝播したかを追跡するのに役立つ。

Genomics can help to monitor cholera p.397

doi: 10.1038/d41586-019-00206-w

CERNの超巨大衝突型加速器建設構想に対しては、資金面やその意義についてすでに激しく議論されているが、冷静で論理的な評価が必要だ。

Agree to disagree on plans for the next European supercollider p.398

doi: 10.1038/d41586-019-00234-6

News

南極の氷底湖マーサー湖の掘削調査で、甲殻類やクマムシの死骸を発見。

EXCLUSIVE: Tiny animal carcasses found in buried Antarctic lake p.405

doi: 10.1038/d41586-019-00106-z

マダガスカルで新大統領が就任し、森林伐採や汚染など同国が抱える深刻な環境問題関連の政策に、期待と不安が。

Fate of Madagascar's forests in the hands of incoming president p.407

doi: 10.1038/d41586-019-00189-8

英国の科学界が、「合意なき」EU離脱による混乱に備えて対策を。

How UK scientists are preparing for a chaotic no-deal Brexit p.408

doi: 10.1038/d41586-019-00191-0

米国で、宇宙探査や望遠鏡建設など次の10年の天文学研究の優先順位を決定する「10年計画調査」が開始。

US astronomers plot wish list for the next decade p.409

doi: 10.1038/d41586-019-00172-3

CERNが、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)よりもはるかに大きな後継施設の建設計画を発表。

Next-generation LHC: CERN lays out plans for €21-billion supercollider p.410

doi: 10.1038/d41586-019-00173-2

個々のニューロンを追跡する先駆的な脳研究で、ヒトとサルの「ソフトウエア」の違いが明らかに。

Pioneering brain study reveals ‘software’ differences between humans and monkeys p.410

doi: 10.1038/d41586-019-00198-7

News Features

公衆衛生:不景気と死亡率の関係

How the next recession could save lives p.412

景気が後退すると死亡率が低下する、という意外だが歴史的に裏付けられている傾向の研究から、経済が公衆衛生に及ぼす複雑な影響が見えてくる。

doi: 10.1038/d41586-019-00210-0

資金調達:エストニアの研究の復活

Estonia's research revival p.416

EUへの加盟は、小国の科学の強化にどのように役立ったのだろうか。

doi: 10.1038/d41586-019-00209-7

News & Views

地球科学:沈み込み過程を再構築する方法

Lost tectonic history recovered from Earth’s deep mantle p.432

マントル深部へ失われたテクトニックプレートは、太古の表面のテクトニクス過程の記録を保持している。今回、そうした記録を回収する方法が開発され、テクトニクスと造山運動の関連が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-019-00160-7

発生生物学:植物が太くなる機構が明らかに

Plant-thickening mechanisms revealed p.433

根では、形成層領域の幹細胞が、水と栄養素の長距離輸送に必要な維管束組織を形成する。今回、こうした幹細胞が指定され調節される仕組みが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-07880-2

画像化技術:影を使って曲がり角の向こう側をのぞく

Shadows used to peer around corners p.435

今回、影に含まれている情報の解析によって、普通のカメラの知覚範囲を拡大できた。この知見は、ロボット、自動車、医療におけるセンシングに技術的な影響を及ぼす可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-019-00174-1

構造生物学:脳におけるクロストークが豊富な受容体

An in-depth structural view of a GABAA brain receptor p.436

GABAA受容体群は、ヒト脳の神経阻害に重要な役割を担っている。今回、あるGABAA受容体の新たな構造から、その結合部位間のクロストークの機構が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-07843-7

材料科学:ゲルのサンドイッチでできた賢い窓

Fine-tuned gel particles enable smart windows for energy efficiency p.438

今回、ポリマーゲル粒子を用いて、熱を生成する波長の太陽光を、温度に応答して極めて効果的に透過したり遮断したりする窓が作られた。こうしたスマートウインドウによって、建物のエネルギー効率が高くなる可能性がある。

doi: 10.1038/d41586-019-00084-2

ゲノミクス:においを識別する染色体のハブ

Chromosomes come together to help mice distinguish odours p.439

マウスの嗅覚ニューロンでは、複数の染色体のハブが集まって、それぞれのニューロンでにおいを検知する受容体が確実に1つだけ発現するようにしていることが今回明らかになった。この特徴は、においの識別に不可欠である。

doi: 10.1038/d41586-019-00010-6

News And Views

From the archive p.437

doi: 10.1038/d41586-019-00217-7

Articles

地球科学:アンデス山脈に沿ったナスカプレートの沈み込みの南方への拡大

Southward propagation of Nazca subduction along the Andes p.441

doi: 10.1038/s41586-018-0860-1

ゲノミクス:LHX2やLDB1が仲介するトランス相互作用は嗅覚受容体の選択を調節する

LHX2- and LDB1-mediated trans interactions regulate olfactory receptor choice p.448

doi: 10.1038/s41586-018-0845-0

構造生物学:構造薬理学によって明らかになったGABAA受容体のシグナル伝達機構

GABAA receptor signalling mechanisms revealed by structural pharmacology p.454

doi: 10.1038/s41586-018-0832-5

Letters

天文学:アンドロメダ銀河内の反復新星の巨大な残骸

A recurrent nova super-remnant in the Andromeda galaxy p.460

doi: 10.1038/s41586-018-0825-4

物性物理学:強誘電体層における二重井戸のエネルギー地形を明らかにする

Unveiling the double-well energy landscape in a ferroelectric layer p.464

doi: 10.1038/s41586-018-0854-z

物性物理学:定常状態の負性容量の空間的分解

Spatially resolved steady-state negative capacitance p.468

doi: 10.1038/s41586-018-0855-y

画像化技術:普通のデジタルカメラを用いるコンピューター・ペリスコープ法

Computational periscopy with an ordinary digital camera p.472

doi: 10.1038/s41586-018-0868-6

気候科学:陸域の長期的な炭素取り込みに対する土壌水分の大きな影響

Large influence of soil moisture on long-term terrestrial carbon uptake p.476

doi: 10.1038/s41586-018-0848-x

形態発生学:巨視的な力の分子制御が脊椎動物の後腸形成を駆動する

Molecular control of macroscopic forces drives formation of the vertebrate hindgut p.480

doi: 10.1038/s41586-018-0865-9

発生生物学:高レベルのオーキシンシグナル伝達が維管束形成層の幹細胞オーガナイザーを規定する

High levels of auxin signalling define the stem-cell organizer of the vascular cambium p.485

doi: 10.1038/s41586-018-0837-0

発生生物学:細胞間移動性のPEAR転写因子は細胞の位置情報を統合して形成層の成長を準備させる

Mobile PEAR transcription factors integrate positional cues to prime cambial growth p.490

doi: 10.1038/s41586-018-0839-y

生化学:ミトコンドリアの複合体IIIは制御性T細胞の抑制機能に不可欠である

Mitochondrial complex III is essential for suppressive function of regulatory T cells p.495

doi: 10.1038/s41586-018-0846-z

免疫学:FTSJ3は、HIVが自然免疫による感知を避けるために誘導するRNA 2′-O-メチルトランスフェラーゼである

FTSJ3 is an RNA 2′-O-methyltransferase recruited by HIV to avoid innate immune sensing p.500

doi: 10.1038/s41586-018-0841-4

幹細胞:糖尿病性血管症のモデルとしてのヒト血管オルガノイド

Human blood vessel organoids as a model of diabetic vasculopathy p.505

doi: 10.1038/s41586-018-0858-8

骨発達:HIF-1αは軟骨細胞におけるコラーゲンの合成と修飾を代謝レベルで制御する

HIF-1α metabolically controls collagen synthesis and modification in chondrocytes p.511

doi: 10.1038/s41586-019-0874-3

構造生物学:脂質二重層中のヒトα1β3γ2 GABAA受容体のクライオ電子顕微鏡構造

Cryo-EM structure of the human α1β3γ2 GABAA receptor in a lipid bilayer p.516

doi: 10.1038/s41586-018-0833-4

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