Nature ハイライト
Cover Story:ヒトの情報資源:gnomAD:ヒトゲノムのバリアントのカタログ
Nature 581, 7809
今週号には、gnomAD(Genome Aggregation Database)から得られた詳細な知見について報告した4報の論文が掲載されている。gnomADは、6万706人のエキソームを集約した2016年のExACデータベースの後継となるもので、12万5748のエキソームと1万5708の全ゲノム塩基配列が集められている。このようにサンプルサイズが大きくなり範囲が広がったことで、個人間の一塩基バリアント(SNV)だけでなく、50以上のヌクレオチドでできたより複雑な構造バリアントのカタログの作成も可能になった。中心となる論文では、K Karczewskiたちが、このデータベースを概観し、タンパク質をコードする遺伝子を不活性化し得るバリアントを調べている。第二の論文では、R Collinsたちが、43万3371の構造バリアントのカタログを作成し、生理的特徴に対するその影響を解析している。第三の論文では、B Cummingsたちが、RNA発現データを用いてバリアント解釈の指針が得られることを示している。そして第四の論文では、E Minikelたちが、薬剤の遺伝的標的の特定にgnomADデータがどのように役立つ可能性があるか探っている。
2020年5月28日号の Nature ハイライト
天文学:近傍宇宙のバリオン量の測定
原子物理学:放射性分子を上手に使う分光法
材料科学:ナトリウム系のプラズモニクス
ナノスケール材料:興味深い高指数ファセットの成長
材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解
古生物学:ゴンドワナテリウム類の初めての骨格化石
神経科学:患者の鼻で意識の有無を嗅ぎ分ける
疫学:軽症SARS-CoV-2感染症でのウイルス排出
微生物学:腸ウイロームの構築
免疫学:腸において胆汁酸が仲介する制御性T細胞の分化
分子生物学:ヘテロマー複合体の進化