Nature ハイライト
Cover Story:転移のマッピング:がんの転移能を捉える花弁図
Nature 588, 7837
がんによる死亡の大半は、腫瘍が転移によって体の二次的部位に広がることに関連しているが、この過程の根底にある生物学的性質に関する知識には、まだかなりの欠落がある。今回T Golubたちは、ヒトのがん細胞株の転移能の決定に使えるバーコードシステム「MetMap」について報告している。このシステムは、21種類の固形がんを代表する500のがん細胞株の解析に基づいている。彼らは解析の結果から、表紙のイラストのような、転移パターンに関連した花弁図(petal plot)を作製した。著者たちはさらに、このマップを用いて、脳に転移する乳がんを評価し、この過程が脂質代謝の変化と関連しており、将来の治療標的となる可能性があることを見いだしている。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う