Nature ハイライト
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
Nature 588, 7837
今回、岩崎明子(米国エール大学ほか)たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度は女性よりも男性の方が高いという観察に引き続いて、軽症から中等症のCOVID-19患者のコホートの免疫表現型について調べている。その結果、男性患者では、IL-8やIL-18、CCL5などの自然免疫サイトカインやケモカインに加えて、非古典的単球の血漿レベルがより高いことが分かった。女性患者では年齢にかかわらず、よりロバストで持続的なT細胞の活性化が見られた。また、男性患者ではT細胞応答の低さが転帰不良と相関することも明らかになった。これらの知見は、男性と女性の患者に対する治療やケアに関係してくる可能性があり、男性患者ではT細胞応答を増強させる治療が、女性患者では早期の自然免疫応答を弱める治療が有用である可能性を示唆している。
2020年12月10日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:標準的な衝突から得られるエキゾチックな物理
ナノスケール材料:毛管凝縮の限界を探る
気候科学:適度に差別化した炭素課税によって得られる強力な気候緩和
生態学:脊椎動物のクラスター化した減少と全球規模の壊滅的な減少を区別する
古生物学:太古の鳥類の多様なくちばし
ゲノミクス:コムギゲノムアセンブリで世界的な遺伝的多様性を調べる
ゲノミクス:オオムギのパンゲノム
神経科学:アストロサイトは抑制性シナプスの形成を調節する
ウイルス学:ベネズエラウマ脳炎ウイルスの受容体
免疫学:COVID-19患者における免疫応答の性差
コロナウイルス:SARS-CoV-2のスパイクは膜融合のための準備を行う