Nature ハイライト
Cover Story:遺伝的特徴の継承:疾患遺伝学に新たな見方をもたらすフィンランドの隔てられた歴史
Nature 613, 7944
フィンランド人集団の歴史的な隔離は、(表紙のイラストで示されているような)比較的均一な遺伝子構成をもたらした。今週号では2報の論文が、フィンランドのこうした独特な遺産を用いて疾患の遺伝学を調べている。この研究の中心にあるのは、フィンランド人50万人のゲノムデータと健康データの詳細な調査を目的としたFinnGen研究である。1報目の研究では、フィンランド人22万4737人のデータが分析され、681のさまざまな疾患に影響を及ぼす1838の遺伝的バリアントが見いだされている。これには、新規である可能性のある低頻度の702の関連バリアントが含まれる。2報目の論文では、疾患を起こすにはそれぞれの親から受け継いだ遺伝子の両方に欠陥がなければならないという劣性(潜性)条件に注目して、フィンランド人に特有の複数の関連が見いだされ、これまで認識されていたより大きな遺伝的継承の複雑さが明らかになっている。
2023年1月19日号の Nature ハイライト
天文学:時間と金属量で変化する初期質量関数
量子物理学:超伝導における磁気相関による正孔対形成の実証
量子物理学:乱雑な量子状態を自在に作り出す
光学材料:強い固有キラリティーを示すメタ表面
物性物理学:キラル超伝導体のスピン特性
物性物理学:反強磁性構造におけるトンネル磁気抵抗
材料科学:縦型有機電気化学トランジスター
気候科学:グリーンランド中北部の現代の気温は過去1000年間で最も温暖である
社会科学:ワクチン接種の金銭的誘因
行動神経科学:視覚刺激を運動応答に変換する仕組み
神経科学:ネットワーク構造がカギ
発生生理学:細胞の代謝が種特異的な発生速度を調節
コロナウイルス:SARS-CoV-2のニルマトレルビル抵抗性が生じる仕組み
免疫学:胸腺細胞におけるプレTCRと自己MHCの相互作用の重要性
細胞生物学:ライブ画像化による核膜孔複合体の構築経路の解明
生化学:CRISPR–Cas12a2が細胞を守る仕組み
構造生物学:活性なNLRP3インフラマソームディスクの構造