Nature ハイライト
Cover Story:ミイラの作り方:古代エジプトの作業場から明らかになった死体防腐処理のレシピ
Nature 614, 7947
表紙は、エジプトのサッカラ地域で古代エジプト人のミイラ化した遺骸を収めるのに使われていた木棺である。ミイラの存在はよく知られているが、古代の死体防腐処理者が実践した方法の詳細は、まだよく分かっていない。今回M RageotとP Stockhammerたちは、年代が紀元前664〜525年とされるサッカラの防腐作業場の遺物を利用して、そのプロセスの詳細の多くを明らかにしている。彼らは、作業場で見つかった31点の土器を分析した。その結果、器の残留物の生化学的分析と多くの器を特徴付ける「頭に塗る」などの刻印された文字を組み合わせることで、どのような化学物質が使用され、それらがどのように混合され、命名され、適用されたかを解明することができた。著者たちはまた、死体の防腐処理に使われた材料の一部が、レバント地方、さらには南アジアや東南アジアからすら輸入されていたと述べており、これは、ミイラの製作が遠隔地貿易の促進に役立った可能性を示している。
2023年2月9日号の Nature ハイライト
天文学:太陽系外縁天体クワオアーの環
原子核物理学:従来理論では説明のつかない中間子スピン
物性物理学:スピン偏極した空間的間接励起子
物性物理学:物質のゆらぎを可視化する
化学:触媒ダイナミクスを探る新たな手法
エネルギー科学:シリコンを用いた水分解による低コスト水素燃料生成
化学:電気光触媒反応でC–H結合をC–O結合に変換
環境科学:1700年以降の広範な湿地の損失
神経科学:ドーパミンが学習の適応速度を決める
植物科学:アブラナ科植物の種内・種間生殖障壁を支える仕組み
免疫学:HIVはこうして潜む
免疫学:HIVリザーバー細胞はHIVを黙らせる
免疫学:核酸サイトメトリーによる希少な病原性アストロサイト集団の解析
免疫学:細菌由来の産物による肝臓でのT細胞免疫調節機構
発生生物学:リンパ管内皮の発生を指定するエンハンサー
がん:原発性腫瘍の省エネ戦略
分子生物学:mRNA産生からの時間経過によってキャップ構造が変わる
構造生物学:構造から明らかになったRho依存性転写終結の仕組み