Nature ハイライト
Cover Story:味覚の獲得:受容体構造の進化によってタコやイカに新たな感覚が生じた仕組み
Nature 616, 7956
タコは、腕の吸盤にある化学触覚受容体(CR)を使って、海底の環境を探索する際に「触ることで味を知る」。CRは、神経伝達物質受容体から進化し、タコは、CRによって難溶性の天然物に触れてそれらを検出できるようになった。今週号では、N BellonoとR Hibbsたちが2報の論文で、頭足類のCRを用いて感覚受容体進化の構造基盤を調べている。最初の論文では、神経伝達から環境刺激検出へと受容体機能が変化したことの根底にある、タコのタンパク質構造の適応が明らかにされている。次の論文では、この情報を用いて、タコ、イカ、コウイカなどのさまざまな頭足類で、感覚受容体の調整が新たな行動を促す仕組みが調べられている。これらをまとめると、今回の研究によって、わずかな構造的適応が、特定の生態学的状況に適した新たな形質や行動を促す仕組みを理解するための基盤が得られている。
2023年4月13日号の Nature ハイライト
天文学:ビッグバンから5~7億年後の大質量銀河
物性物理学:グラフェンにおけるディラックプラズマの磁気的挙動
材料科学:一重項分裂の超高速変化の観測
光物理学:多粒子量子過程を解きほぐす
材料化学:低温での水蒸気放出で変色する多孔性有機結晶
材料化学:空気–液体界面における無機膜の形成
環境社会科学:持続可能性を強化する作物の切り替え
惑星科学:水素大気が地球を形作った
神経科学:眠れるドラゴンの脳内での競合
微生物学:細菌の免疫シグナル伝達のミニマルな機構
微生物学:cGASシグナルを巡る細菌とファージのせめぎ合い
ウイルス学:感染性ウイルス粒子の構築には相分離が必要
腫瘍生物学:膵臓がん特異的な代謝依存性
免疫学:NK細胞受容体NKp46の内因性リガンド
生物工学:細菌の毒針を利用した薬物送達システム
遺伝学:ヒト転写エフェクタードメインの役割
構造生物学:Cas12の祖先と考えられていたTnpBの構造と作用機構