Nature ハイライト
Cover Story:荒れ狂う雄:牙の成長の記録から明らかになった雄のマンモスにおけるテストステロンの急増
Nature 617, 7961
表紙は、2頭の雄マンモスが闘っている姿の想像図である。成熟した雄のゾウは、「マスト」と呼ばれる発情期の発現中、交尾のための攻撃や競争と関連したテストステロンレベルの上昇を経験する。今回M Cherneyたちは、雄のケナガマンモス(Mammuthus primigenius)にも、同様にマストの発現が見られたことを示している。著者たちは、象牙質の層から成長の記録が得られる牙に着目した。そして、液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析法を使い、現生のゾウと有史以前のマンモスの牙から得られた象牙質を用いることで、ホルモンの記録の再構築が可能になった。得られた結果からは、雄のマンモスにも、雄のアフリカゾウの記録に見られるマストに伴うテストステロンの変動と同様の変動が見られることが明らかになった。
2023年5月18日号の Nature ハイライト
天文学:初めて観測されたIa型超新星からの電波放射
惑星科学:WASP-39b上で光化学生成された二酸化硫黄
物性物理学:酸化物半導体による極めて強い光電子放出
材料科学:電子ペーパーにもなり得るコロイド
エネルギー科学:高レート電池の内部温度をマッピング
材料科学:レーザー付加製造による高性能合金
電気化学:塩素を効率的に生成できる有機触媒
化学:プロモーター添加によるオレフィンメタセシスの効率向上
気候科学:人間活動によって北半球熱帯域の大気循環が弱まっている
遺伝学:体細胞におけるレトロトランスポジションの全体像
神経科学:統合失調症治療の新たな標的
微生物学:消化中のヒト腸内環境を探るデバイスの開発
免疫学:ブースター接種の効果
がん神経科学:グリオーマはヒト脳で神経回路を改変して腫瘍増殖を促進し、認知機能を損なう
細胞生物学:ペルオキシソーム膜での相分離によるタンパク質輸入チャネル
細胞生物学:アンドロゲン受容体でのDAAM2が関わる核アクチン重合は転写につながる
構造生物学:光合成による酸素発生の詳細な機構
構造生物学:光合成でのH2O分解とO2産生過程についての手掛かり