Nature ハイライト

Cover Story:脳の排液系:脳脊髄液を流出させるハブ

Nature 625, 7996

脳脊髄液(CSF)は、脳と脊柱を循環して、機械的支持と栄養をもたらすとともに不純物の除去を助けている。CSFがリンパ系を通して流出することはかねてから知られていたが、この過程におけるリンパ系の接続と調節の詳細については解明が難しかった。今回G Kohたちは、マウスで蛍光トレーサーを用いて、鼻咽頭リンパ管叢と呼ばれる鼻の奥のリンパ管網が、脳から頸部リンパ節へのCSFの流れを促進していることを明らかにしている。表紙はこれを示した画像で、リンパ管叢(上部)と深頸部のリンパ管(中間部と下部)の直接的なつながりが緑色で強調され、青色が血管を、赤色が平滑筋を示している。著者たちは、このリンパ管叢は加齢に伴い退縮して機能を失い、アミロイドβなどの疾病関連タンパク質の除去を妨げる可能性があると指摘しているが、深頸部リンパ管を薬理学的に刺激することで、加齢に関連するこのハブの機能低下を抑制できることも示している。

2024年1月25日号の Nature ハイライト

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