Nature ハイライト
Cover Story:密接な関係:宿主とマイクロバイオームの膨大なネットワークを明らかにするアトラス
Nature 628, 8006
ヒトの生理機能は、マイクロバイオームを構成している非常に多くの微生物の影響を受けているが、こうした影響の分子基盤はほとんど分かっていない。今回N PalmとA Ringたちは、ヒトの組織と微生物相の間のさまざまな相互作用のアトラスを提示している。彼らは、酵母クローンを用いてヒトの細胞外タンパク質や分泌タンパク質(エキソタンパク質)を表示する、BASEHITと呼ばれるシステムを考案し、これを用いて、人体のさまざまな組織に生息することが知られている数百種の共生細菌との相互作用のスクリーニングを行った。その結果得られたインタラクトームから、数千のこれまで知られていなかった分子レベルの宿主–微生物相互作用が明らかになった。表紙は、細菌とBASEHIT酵母細胞の間のそうした相互作用の1つの想像図である。
2024年4月4日号の Nature ハイライト
天文学:母銀河に対するブラックホールの質量比が高い初期宇宙の活動銀河核
量子物理学:ブラックホールの合体を模倣する超流動体量子渦
物性物理学:重力子に似た集団励起を生じる分数量子ホール液体
工学:汗を一方向のみに通す「液体ダイオード」
エネルギー科学:3Dペロブスカイトを2Dペロブスカイトで挟んで性能を向上させる
多孔質材料:1Dケイ酸塩鎖間のシリル化による超大細孔ゼオライトの合成
化学:温度勾配による前生物分子の精製
動物行動学:キンカチョウの求愛歌は量より質
遺伝学:片親起源効果を進化させた機構
遺伝学:多様な血中代謝物のゲノム規模関連解析
神経科学:電気パルスによる集団センシング
記憶:脳は傷つきながら記憶する
神経科学:アルツハイマー病とミクログリアの脂質代謝
加齢:造血幹細胞の加齢変化が免疫に与える影響
微生物学:微生物代謝物によるDRD2を介する定着抵抗性
微生物学:薬剤耐性結核菌における適応度コストの分子機構
神経免疫学:神経系の慢性炎症性疾患にはミトコンドリア複合体Iが関係している
免疫学:眼と脳はリンパ系を介して免疫的につながっている
構造生物学:RAD51はヌクレオソーム上で2つの異なるコンホメーションをとる