Nature ハイライト

Cover Story:カエルのサウナ:太陽光に熱せられた隠れ家が両生類の致死的な真菌感染症との闘いに役立つ

Nature 631, 8020

キンスジアメガエル(<i>Litoria aurea</i>)。
キンスジアメガエル(Litoria aurea)。 | 拡大する

Gerald Corsi / iStock / Getty Images Plus

真菌が原因のツボカビ症は世界中で急速に広がり、少なくとも90種の両生類を絶滅に追いやった。飼育下の両生類の治療には成功しているが、野生での疾病管理は依然として難しい課題である。今週号ではA Waddleたちが、野生の両生類がツボカビ症を克服するのに役立つ可能性のある単純な手法を提示している。この手法のカギとなるのは温度で、ツボカビ症の原因菌が28°C以上の環境に耐えられないことを利用している。著者たちは、太陽の光で温められた小さな温室の中に穴あきれんがを積み上げて微小生息地を作った。オーストラリアのキンスジアメガエル(Litoria aurea)を使って実験したところ、カエルたちは表紙の写真のように高温の場所でじっとしているのを好むことが分かった。この「カエルサウナ」で体温が十分に上昇したカエルは、真菌感染を軽減させて排除することができた。さらに、このようにして回復したカエルは、真菌の繁殖に最適な低温環境下でも、ツボカビ症に対する抵抗力を示した。

2024年7月11日号の Nature ハイライト

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