Nature ハイライト
Cover Story:暗い見通し:海水温が過去400年間で最高となり、グレートバリアリーフは存続の危機に直面している
Nature 632, 8024
表紙は、オーストラリアのグレートバリアリーフにおけるサンゴの大規模な白化現象の影響を芸術的に表現したものである。このサンゴ礁が2016〜2024年に経験した5回の大規模白化・死滅事象は、海面水温(SST)の上昇によって引き起こされた。今回B Henleyたちは、夏季のSSTを17世紀までさかのぼって復元し、最近起きた白化事象は400年間で最も海水温が高かった海域で発生したことを明らかにした。著者たちは、サンゴの骨格から得られた地球化学的記録を用いて、水温を1618年までさかのぼって復元した。得られた知見は、白化・死滅事象が温暖化によって今後ますます頻繁かつ激しくなり、このサンゴ礁が回復困難な状態に陥る可能性があることを示唆している。
2024年8月8日号の Nature ハイライト
量子シミュレーション:大規模光格子で観測された反強磁性相転移
人工知能:光ニューラルネットワークを効率的に訓練する
ナノレーザー:原子スケールまで局在化されたナノレーザー
太陽電池:ペロブスカイト太陽電池向け動的自己修復型パッシベーション
太陽電池:ペリ縮合多環芳香族分子コンタクトによるペロブスカイト太陽電池の性能向上
化学:Ti錯体を用いて窒素ガスとアルケンからアミンを合成する
化学:保護基なしのオリゴ糖合成
地球力学:マントル内部の対流的不安定が形成したクラトン内部の地形
生態学:退氷後に出現する新たな生態系が発達する仕組み
古生態学:コーラルトライアングルの歴史
免疫遺伝学:免疫系の進化を決定付けるモジュール性
生化学:CRISPR–Cas系の活性をオフにするタンパク質
自己免疫:セリアック病の新たなヒトオルガノイドモデル
腫瘍生物学:肝転移を評価するin vivoスクリーニング法の開発
がん:皮膚での腫瘍進化に関わる2つのTNFプログラム
がん:腫瘍脈管構造の包括的アトラス
構造生物学:フォルミンによるアクチンフィラメントの切断と伸長の機構
構造生物学:スプライソソームの分解機構
生化学:プロポフォールがHCNチャネルを阻害する仕組み