Nature ハイライト
Cover Story:良いか悪いか:単純な2段階評価システムがギグエコノミーにおける人種的偏見を減らす
Nature 639, 8054
近年、ほぼ全てのオンライン取引後に、取引結果の評価が求められるようになっている。しかし、教師の評価や漏水修理業者の作業の評価など、人の労働が関わる場合、この種のパフォーマンス評価システムは別の結果、すなわち人種差別をもたらす可能性がある。今回T BotelhoとK DeCellesたちは、標準的な5段階評価を単に「良いか悪いか」の2段階評価に変更するだけで、評価に内在する偏見を抑制できることを報告している。彼らは、ホームメンテナンス労働者を提供するオンラインプラットフォームにおいて、5段階評価から2段階評価へと切り替えた際の過去の評価データを分析した。その結果、切り替え前は、白人労働者と有色人種労働者との間に、顧客からの評価、そしてその結果が反映される収入に明確な人種格差が存在したが、2段階評価に切り替えた後、両者の格差がほぼ解消されたことが分かった。さらに、評価方法を「作業は良かったか、悪かったか」という明確な問いに変更することで、顧客の回答における偏見がなくなることが示唆された。
2025年3月13日号の Nature ハイライト
計算機科学:量子ハードウエア用のオペレーティングシステム
量子光学:集積フォトニックチップ上で実現された多者間エンタングルメント
材料科学:融解と圧縮による最も薄い金属層の作製
光触媒:分子接合型光触媒によるメタンからエタノールへの変換
気候科学:2000〜2023年の全球の氷河質量損失の再評価
保全生物学:先進国は森林動物種への悪影響を「輸出」している
ゲノミクス:グリーンランド人の独特な遺伝的構造
遺伝学:シス調節エレメントの大規模な機能解析
神経科学:判断に個体差が生じる仕組み
神経科学:攻撃の経験値で変わるドーパミンの調節能
植物科学:植物免疫におけるNLRシグナル伝達の構造基盤
微生物学:ファージ核へのタンパク質輸送機構
がん:スプライシング異常に由来するネオアンチゲンの網羅的解析
腫瘍免疫学:個別化がんワクチンがネオアジュバンド療法として有望
免疫学:T細胞の位置と機能は結び付いている
遺伝学:デュシェンヌ型筋ジストロフィーでの遺伝的補償とその臨床応用
幹細胞:心筋修復に使用できる同種移植片をiPS細胞から作製
ゲノム工学:ゲノムを書き換えて、遺伝暗号の縮重をなくす試み
計算生物学:タンパク質–リガンド複合体の「ネオ表面」を標的とするタンパク質