Nature ハイライト

Cover Story:トランスレーショナル・リサーチ

Nature 453, 7197

組織pHの低下は、がんや虚血、炎症のような病気に伴って生じることが多いため、組織pHを視覚化する手法は、疾患の診断と治療応答追跡の両方に役立つと考えられる。今回、新しい非侵襲的pH画像化法が開発され、生きたマウスの細胞外pHの測定によって実証された。これは、磁気共鳴画像法(MRI)と炭素13で標識した炭酸水素イオンの静脈注射とを組み合わせたもので、動的核スピン偏極法を使うことで、検出感度が極めて高くなっている。炭酸水素イオンは、哺乳動物の組織中に本来的に存在する緩衝物質であり、炭酸脱水酵素が触媒する反応によって二酸化炭素と相互変換して、pH変化を抑制する。標識した炭酸水素イオンと二酸化炭素との比を用いれば、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式によりpHが計算される。腫瘍を移植したマウスの画像で腫瘍のpH低下が確認され、この新手法の臨床応用が実際に可能だと考えられるようになった。表紙では、画像の各色がそれぞれpH値を表している(Letter p.940, Author page)。

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