Nature ハイライト

Cover Story:人的要因:人為起源の温室効果ガスと極度に多い降水量との連関

Nature 470, 7334

気温や平均降水量に見られる傾向には、人間活動の大きな影響がすでに表れている。しかし、極端に多い降水量に人間活動の痕跡が認められることを形式に乗っ取ってきちんと突き止めた研究はこれまでなく、特定の気象事象に対する人間活動の影響の評価は難しいことが認められている。今回、人為起源の温室効果ガスにより豪雨や局所的な洪水のリスクが大幅に増大したことを示す証拠を、2つの研究グループが提出している。Minたちは、北米、ヨーロッパ、アジア北部における1951年から1999年にかけての降雨量の観測値とシミュレーションの比較を行い、北半球陸域の大部分での非常に激しい雨の発生率に、温室効果ガス増大が統計的に有意な影響を及ぼしていることを見いだした。Pallたちは、一般ボランティアによる分散コンピューティングによって実行した多数の気候シミュレーションを用いて、温室効果ガス放出量の増加が、2000年秋のイングランドおよびウェールズにおける大規模な洪水の際に、洪水リスクをかなり増大させたことを明らかにしている。News & Viewsでは、R Allanが、水文サイクルにおける地域的な変動を予測する際についてまわる技術的難問について論じている。表紙は、2005年8月の豪雨によるロイザッハ河氾濫の後に、住民の一部が避難したドイツ南バイエルンのエッシェンローエのようすである(Letters pp.378, 382, News & Views p.344)。

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