Nature ハイライト

物性:スピントロニクスにおける熱利用

Nature 475, 7354

ゼーベック効果はよく知られた現象であるが、そのスピン版であるスピンゼーベック効果も、さまざまな強磁性体(金属、絶縁体、半導体)で起こることが知られている。スピンゼーベック効果では、帯状の強磁性体に温度差があるとスピン圧が生じ、帯の片端に上向きスピン電子が、もう片方の端に下向きスピン電子が集まる。今回Le Bretonたちが報告したのは、これとはかなり異なる現象であり、強磁性体/酸化物/シリコン構造のデバイスに熱勾配があると、酸化物障壁を通してゼーベック電子スピン・トンネリングが起こるというものだ。今回の研究結果は、非磁性半導体へのスピン注入や、スピントロニクスデバイスにおける熱の機能的な使用の新たな機構を示している。

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