Nature ハイライト 医学:アンチ標的は見逃すように調整された抗がん剤 2012年6月7日 Nature 486, 7401 分子標的抗がん剤は、キナーゼ阻害剤であることが多く、このような薬剤は多様なキナーゼを阻害することがしばしばである。K Shokatたちのグループは、キナーゼのRetを使って作製した多発性内分泌腺腫2型(MEN2)のショウジョウバエモデルを用いて、RetなどのMEN2腫瘍の増殖に関与する複数のキナーゼを標的とするマルチキナーゼ阻害剤のスクリーニングを行い、「アンチ標的(anti-target)」という考え方について調べた。マルチキナーゼ阻害剤のアンチ標的との相互作用は、望ましくない毒性につながったり、あるいは薬剤の有益な効果に拮抗するフィードバック機構を引き起こしたりすることがある。最適化された薬剤とは、アンチ標的は回避しながら、腫瘍に関連するキナーゼの理想的な組み合わせを標的とするものだろう。このような化合物は、ショウジョウバエMEN2モデルの生存性を向上させただけでなく、ヒトのMEN2細胞の異種移植片増殖でも効果が見られた。 2012年6月7日号の Nature ハイライト 発生:大脳新皮質の発生制御 医学:アンチ標的は見逃すように調整された抗がん剤 宇宙:天の川銀河の「若い」ハロー 宇宙:紫外線によって浮び上がった火星メタンの新たな起源 地球:保存されてきた太古のマントル貯蔵庫 環境:国際貿易が内包する生物多様性というコスト 脳:発達中の新皮質の姉妹ニューロン 構造生物学:ナトリウムチャネルの高分解能構造 目次へ戻る